第二章 仕込みと言う名のプロローグ
料理は化学!?
料理・・・というのはなんだろうか?
ふと、思う。
料理は化学や科学である。と、どこかで聞いたことがある。
確かに、料理には多くの化学反応が用いられている。
お肉を高温で調理すればメイラード反応で風味が増す。
納豆とかチーズの発酵食品は微生物による化学反応だ。
煮物は煮込んだ後、一度冷ますことにより、浸透圧で味がしみ込む。
このように、料理には様々な化学反応が込められている。
調理器具だってそうだ。火や電気であらゆる調理を行う。
なんとなしに使っている器具だが、化学や科学技術の粋が集められているのだ。
化学の祖である、錬金術はかつて台所で行われていたそうだ。
まあ、この話は横に逸れるし、長くなるので置いとくとして・・・
料理とは何か、だが、人類が多くの試行錯誤の末に行きついた技術体系である。
と、思う。
始まりは『火』を使用した調理から、発酵や様々な自然の化学反応と共に発展させてきた。
しかし、それらは『化学・科学』とは意図せず、偶然であるものが多い。
だが、人類が発展し、今にしてみれば、料理はあらゆる学問に通じていると気付く。
料理は化学や科学と同時進行であり、時として別ベクトルであり、時として交わり、共に発展してきたのだ。
更なる味の発展。旨み成分の解析。加工、保存方法の進化。
化学調味料・・・もとい、うまみ調味料の開発と多様化。
調理における利便性の向上。
料理の隣にはいつもあらゆる分野の学問の発達があった。
学問の一つとして、料理の歴史や発展の仕方を調べればなんとも面白いものだ。
これらの知識を、料理に詳しい人たちに話してみれば、興味深く聞いてくれるのではないか?
そう思い、料理部の皆に話してみた。料理の歴史を・・・
返ってきた言葉はこうだ。
「んなもん、美味しかったらなんでもええねん!」
まあ・・・・・・そうだ。
また、別の者は言う。
「料理人はね、良い食材や調味料、調理器具を最大限活かし、『おいしい』の高みを目指すの」
とのことだ。結局、料理の本質とは美味しさの追及であるのだと思う。
料理人は技術職だ。学者ではない。料理の腕がモノを言う世界。
だが、料理としての学問を知っておいて損はないだろうと、時として専門書に目を通す。
どのような事態にも対応できるように。
しかし、料理部の部員はそれに目と口を尖らせる。
「そんな本を読んどらんと、はよ仕込みせいや!まだまだジャガイモはあるねんでなッ!」
いや、あの、少し休憩というか、もう指が痛くて、皮膚がふやけるし、疲れてだな。
また別の部員は言う。
「料理は根性と努力よ!あと、愛情。それに友情と勝利なのよッ!」
いや、意味が分からない。特に最後の二つはなんだよ?
結局、料理とは化学や科学といった学問であり、根性論でもあり愛情でもあるらしい。
なんとも深すぎて複雑怪奇だ。
もしかしたら、料理とは哲学でもあるのかもしれない。
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