第六話 そして1日目が終わった
〜箱人、技紹介のコーナー 〜
●鴉羽光太 箱:黒い闘気を纏う刀
『
黒い闘気を人間の形に変化させる技。腕は鎌のようになっている。最大7体まで召喚可能。走ったり、飛んだり、人間のように動くことが出来る。鎌で攻撃することも出来るが、威力はほぼなく、全く切ることは出来ない。攻撃を受け消滅すると30秒のインターバル後、再び召喚することが可能。主な使い方は陽動と移動である。人形同士の空間を繋げることが出来、人形から人形へ瞬時に移動が可能である。その為、基本的に1体は自らの手元に残している。
『〜
腕から刀にかけて黒い闘気を纏わせ、巨大な腕に変化させる技。腕の先は鳥の足のようになっており3本の巨大な鉤爪が付いている。その鉤爪で相手を切り裂く。凄まじい威力を持つが、巨大な腕に変化させている為、スピードは落ちる。移動を補う『黒人形』と組み合わせて使うことが多い。
本編
(凄い… あのレベルの箱憑きをたった1人で倒しちゃうなんて…)
星乃が目の前で起こったことを呆然と見ていると、体に絡まっていた糸が消滅した。
(箱憑きが倒れて、効果がなくなったみたいね)
星乃は体を起こして立ち上がり、箱憑きの様子を確認している鴉羽の方に向かった。
「鴉羽くん! 大丈夫?」
「大丈夫だよ。箱憑きも何とか倒せたみたいだし、無事に借りは返せたか?」
「も、もう… お返しが大きすぎるよ…」
星乃は少し肩の荷が下りたのか笑みを溢した。
「おーい! 君たち無事か!?」
声に気づくと遠くから3人の騎士が駆けつけて来ていた。
「ようやく助けが来たみたいだな」
「うん!早くあの子のお母さんを保護してもらわないと」
しばらくして、騎士達は2人の元に到着した。騎士は目の前で倒されたカエルの箱憑きを見て目を丸くしている。
「君達がやったのか」
鴉羽は無言で頷いた。
「そうか… 凄いな… 君たちは何処の自警団だ?」
(自警団?)
鴉羽は馴染みのない言葉に戸惑った。
「私達は日本学校の神堂自警団の者です。私が状況をお話ししますので、彼は休ませてあげても宜しいですか?」
星乃は騎士達に向かって返答した。
「いや、今日はもう遅い。 君達はゆっくり休んで、後日状況の報告を頼めるか?」
時計を見ると既に21時を過ぎていた。鴉羽も星乃も戦いで疲れが溜まっていたので、厚意に甘えることにした。
「あそこで倒れている女性と学校の警備員に保護して貰っているあの女性のお子さんを宜しくお願いします」
「分かった。こちらで病院に連れて行こう」
2人は後のことを騎士達に任せ、寮へと向かい、ようやく山の上の寮へと到着したのだった。
(これ本当に寮なのか?)
そこには高級ホテル顔負けの立派な建物が立っていた。鴉羽が寮を見て唖然としている姿に星乃がクスッと笑った。
「50階建てだよ」
「は?」
理解が追いつかなかった。中に入ると内装も素晴らしく、カフェやレストランや美容院にお土産屋まである。寮生達はさも当たり前かのようにそれらを利用していた。
(何で寮に土産屋まであるんだよ……)
鴉羽が色々な者に気を取られている間に、星乃が受付の呼び鈴を鳴らし管理人を呼んだ。
「ほらほら鴉羽くん! 管理人さん来てるよ」
そこにはとても綺麗な女性が立っていた。鴉羽は思わず緊張する。
「君が今日転校して来た鴉羽くんね。山野先生から話は伺っているわ。私は
「桐生さんは凄腕の騎士でもあるんだよ」
星乃が鴉羽に付け加えて教えてあげた。
(だから護衛も任されているのか)
凛とした姿に騎士と聞いて鴉羽は妙に納得した。
「今日からお世話になります。鴉羽光太です。こちらこそ宜しくお願いします」
鴉羽も桐生に挨拶をした。そして、桐生からカードキーを受け取った。カードキーには3518と番号が書かれている。
「これが鴉羽くんの部屋の鍵ね。星乃さん彼の案内を頼めるかしら?」
「任せて下さい」
星乃は元気よく応える。
「それじゃあ鴉羽くん、これから楽しい学校生活を送ってね。寮内で困ったことが有れば私に相談してちょうだい」
「分かりました。有難うございます」
鴉羽は桐生に見送られながら、星乃と一緒に備え付けてあったエレベーターに乗り、35階へと向かった。
星乃に連れられ、無事に自分の部屋まで辿り着いた。
「鴉羽くん今日はお疲れ様。助けてくれて本当にありがとね」
「いや、気にすることはないよ。お互い様だよ」
突然星乃の目から涙が溢れた。
「ほ、星乃さん!?」
「ご、ごめん。ほっとしたら急に… 」
やはり相当無理をしていたようだ。早く休ませてあげないと。
「星乃さん、部屋までの案内ありがとう。今日はゆっくり休んで」
「うん。鴉羽くんも、また明日ね」
星乃は手を振って笑った。放課後の時とは違い、少し吹っ切れたような笑顔をしていた。
鴉羽は星乃と別れ、部屋へと入った。
(もういちいち驚かないぞ)
部屋はやはり豪勢な内装になっており、キッチンやリビングまであった。
(今日は流石に疲れたな……)
夕食を取っていないが疲れが優っていることもあり、シャワーを浴びてすぐにベッドについた。
緊張の糸が切れたこともあり、そのまま眠りについたのだった。
こうして、鴉羽光太の転校1日目が終わりを迎えたのだった。
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