七章 侍道化と荒海の魔女 その13

「おいおい。なんじゃこのゴーストタウン? 二回目の経験だ。」

 括正は入り込んだ町を観察した。ふとある光景を目にして駆けつける。

(赤ん坊だ! どうしよう! 干からびてる。)

 括正は赤子の成れの果てを抱えて、涙した。ふとあることに気づく。

「……ん? 脈が動いてる。もしかして…回復念術、桃汁。」

 プシュウウウっと括正は手から桃色の気体を赤ん坊にかけた。

「……オギャア、オギャア!」

「おおお、よかったね。元に戻りまちたね。大丈夫でちゅよ〜。」

 ふと括正は横に倒れて干からびた体を確認した。

(……お父さんとお母さんかな?)

「桃汁。」

「はっ!」

「あっ!」

 男と女の皮膚は元に戻った。

「あっ、私の赤ちゃん。」

「ちゃんと抱っこしてくださいね〜。」

 括正は優しい顔で赤子を母に渡した。そして、男の方を向いた。

「あなたは父親ですかな?」

「はい。ありがとうございます。」

「では借りを返してもらいましょう。」

 括正はそう言うと、手拍子を二回した。すると、桃汁の入ったガラス瓶スプレーが十個ほど召喚された。

「他にも干からびてる人、っというか全員だと思うので、シュシュってください。行動力に自信のありそうな方にも予備のやつで協力させて。」

 括正はそう言うと手首を唸らせた。

「犯人は俺様がぶちのめす。」

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