七章 侍道化と荒海の魔女 その12
「そろそろ僕を降ろした方がいいんじゃない?」
「……そうだね。」
ルシアは止まると。その通りにした。広大な草原のかなり前に暗闇が発していた。
「ルーちゃん夕焼けはまだだよね? あれは何? ってか何体いるんだ?」
「恐らく禍々しい気配が造った闇の軍団。色んな形があるわね。三桁いってるかいってないかってとこかしら?」
「足止めは喰らいたくないね〜。」
「あなたもできるアレを二人で撃つわよ。アタシみたいにバリア張って貯めるのよ。その方が溜まりやすいから。」
「オッケー。」
二人は同時に念術で丸いバリアを周りに造った。括正はあることに気づく。
「ありゃ、ルーちゃん。あんた僕と戦った時は紫だったのに今は海のように青くなっている。」
「ほんとだ。……括正は薄紫ね。さあ…」
二人はほぼ同時に両拳を握って、体の左側で右腕を内側の横、左腕は外側の縦にして十字を作る。手に紫のバチバチが唸り始める。続いて右手を腰に引っ込め左手の指を揃えて右の空を勢いよく突く。紫のバチバチが鳴り続ける。後は簡単、両手から標的に放つだけ。括正は横にいるルシアに話しかけた。
「あんたに合わせる、指示を頼む。」
「よぉーし、八秒前……七…六…五…四…三…二…今っ!」
二人は同時に目の前に両手を伸ばした。
「「念雷破極!」」
ババババババババババババババババ!
括正は赤でルシアは紫と、二人の念操者が両手から念の雷を解き放った。
ドカンっと念雷破極に当たった闇の兵士は次々と爆発した。度々闇の軍団は跡形もなく消えた。技を解き放ち終わった括正はルシアに手の平を向けた。
「イエーイ!」
「……。」
「イエーイ!」
「……。」
「いや、ハイタッチだよ、ルーちゃん。知らないの?」
「知ってるけど。それになんの意味があるの?」
「信頼できる人と何かを達成した時に、喜びを表すおまじないだよ。」
「そんなの時間の無、ああ、わかったわかった。涙目やめい。するから。」
パチン!
「ありがとう。……ここからは二手に別れた方がいいね。僕はルーちゃんの親戚っぽいのを対応する。あんたは闇っぽい奴と戦いたい言うてたけど、オーケー?」
「うん。…死ぬんじゃないよ、括正。」
「あんたもな、ルーちゃん。武運を祈る。」
括正はそう言うと、走り出して、ルシアは反対方向に跳んだ。
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