五章 侍道化/東武の守護者 その9
舞台は海を越えた狂矢の豪邸に戻る。
「ぎゃあああああ!」
火雷 狂矢は自分の庭の石像にぶつかった。
「ワオ! いきなり飛んできた狂矢君! 僕ちゃんびっくり!」
「うほうー! 急に気配が! 俺もビビりー!」
家にいた美空とライガーが倒れた狂矢の元に駆けつけた。
「うう…ああ…痛え。ってここはどこだ⁉︎」
「「君の家。」」
「おお、そうか。じゃねーよ! ってなんでまたナチュラルにお前ら俺の家にいるんだよ! お前に関しては牢屋にぶち込んだはずだぞ、美空!」
「そんなことより今バーベキューしてんのさ。加わっていいよ。」
美空はそう言いながら皿を渡す。
「バーベキューって庶民臭くて美しさがないって下にみてたけど、ライガー殿がやりたいって言うからね〜。」
「まあ、バーベキューは面倒な一面もあるがそれをやり遂げる達成感とみんなで過ごす充実感が…ってか俺の食材!」
「まあまあ、飲め飲め! 俺も飛び跳ねながら飲む。」
「だからそれも俺の酒な! お前、ちょっ、飲み過ぎ! 後ゴミは片付けろー!」
狂矢はライガーを叱ると、冷静に考え事をした。
(とんでもねえ技だったな。普通の場所でやってたら、気絶もしくはここまではぶっ飛ばされなかった。音極念界でやったことによって、海越え、山越え、国越え、ここに戻っちまった。ちくしょう、今更戻っても直々の処刑は絶対間に合わん。……やられた。)
「ふと訊くが、狂矢君。」
「あぁ?」
狂矢の思考をライガーが遮った。
「ぼろぼろの傷だらけじゃないか? 何があったん、果たして? もし〜。」
「……二度も負けちまった。侍道化―岩本 括正に。」
「……括正?」
「……かーつーまーさー⁉︎」
「二人とも彼を直接知ってるような反応だな。」
狂矢が言うと、美空はバッと上を脱いで背中をみせた。
「この傷は奴にやられた。」
「……バッテンになってるが、二つともか?」
「間接的にと捉えるなら二つ目もそうだね。」
「ってかお主ら、情けなさの極みだな。」
ライガーは割り込んだ。
「お主ら、括正みたいな俺が一発で倒せるであろうガキンチョに負けるって、逆にミラクル。」
「ハァー⁉︎ お前ふざけんなよ! あいつの打撃、めちゃんこ痛いんだぞ! 投げ技や念術もめっちゃ怖い!」
「そうだぞ、ノービバタイガー! あいつ斬撃も漆黒の如くなのに、痛いんよ! おまけにトリックスター!」
「それなっ! わかったか、ライガー! 侍道化が弱かったら、俺もこのトンチンカンも負けてねーよ!」
狂矢と美空はものすごい怒りと共に抗議した。ライガーは首を振る。
「お主ら、勝てたはずの戦いに敗北しただけじゃなく、言い訳するとは見るに耐えない、たちつてと。」
ライガーはそう言うと、グラスを掲げた。
「さあ、飲もう! 食べよう! 騒ごう!」
「うん! ビバッ!」
「おう……いやだから俺の酒ー! 俺の飯ー! 俺の家ー!」
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