五章 侍道化/東武の守護者 その7
「ハァ…ハァ…。」
(何とか岩場に遠くの岩場まで引き寄せたぞ。)
傷だらけの雄美郎はメタリック・アントニオを見上げていた。
「アハハハ、そろそろ抵抗辞めたら〜? と…ど…メッ!」
ズドン!
砂埃が舞った。
「ありゃ? ねえサミー、あいつ消えたよ。」
「確かに消えやしたね。不思議だ。」
「もしや幽霊だったの…?」
「オカルトはいいっすから今後ろに生息反応出やしたよ。」
ズガ、ズガ、ズーン!
メタリック・アントニオは振り向いた。幸灯が空を飛んでる状態で雄美郎をお姫様抱っこをしていた。フリリーはカンカンだった。
「何よ小娘⁉︎ 逃げたんじゃないの⁉︎ ボーイフレンドを助けにカッコつけてるんじゃないわよ!」
「いや、無愛想で口が悪い人ダメなんですよ〜。」
「俺はドライなんじゃ! 遅えんだよ! 早よおろせ、恥ずかしい!」
雄美郎は文句を言うと、幸灯は距離を置きながらサンライトに話しかける。
「サンライト、傷分析お願いします。」
「無視すんなー!」
「既に完了しております。」
「素晴らしい…。」
幸灯は誉めると、左手のみで雄美郎を抱え、右手の指輪のサンライトのストーンを彼に向けた。
「回復開始。」
「了解。回復開始。」
ピピピピ!
「おい、何しやがる。はよおろさ…おおお…おおお。傷が癒えていく。」
幸灯はようやく雄美郎を地面に下ろした。
「逃げて。後は私に任せてください。」
「勝機はあるのか?」
「お馬鹿さんが操っている鉄の塊です。なんとかなります。」
「そうか。……死ぬなよ。また何かを失う兄上なんて絶対見たくない。」
雄美郎はそう言うと、その場を去った。
ドドドド。っとようやくメタリック・アントニオがおいつく。
「おっほっほ! 逃げるのを辞めたの〜? ヘタレ小娘!」
「オホホホホ! 海賊風情のお方が未来の女王陛下に対して頭が高いんですよ!」
幸灯はそう言うと、腕を前で交差させて、脚を内股で曲げた状態で魔力を高めていた。
「ドレスアップ! コード:
幸灯はそう言うとバッっと両手をやや下に広げて、脚は真っ直ぐ、足先の向きは斜めで足を交差させた。光が彼女を包み込む。
「ま、眩しい! 何よ、これ!」
フリリー達はしばらく目を塞いだ。
「うう、ようやく見えるように…あいつ服が変わってる。着物ははフリルなしの黒いスカートと白タイツに変わって上は赤い毛皮のコートになっている。」
「船長、注意するべきはそこじゃないっす。背中からまるで生きてるように生え動いているてる四つの布帯…その先っちょそれぞれに刃物、東武国の忍者なる者らが使うクナイってやつっすかね? が結ばれてやす。」
二人が分析してると、幸灯が話しかける。
「このコート、ふわふわでかわいいでしょ〜? しかもこれ魔法で…」
パンっと両手を叩いた。
「半袖にできます。」
「「思いの他、どうでもいいわっ!」」
二人は同時にツッコミを入れた。サミーは少し呆れていた。
「いや、袖めくればいいよね? 魔力の無駄遣いな気が…」
「フン! 針が四本とか、アタイのメタリック・アントニオに対抗して生意気モンキー原始人なのよ! ラッシュで決めたる! いけー!」
フリリーはレバーを引いた。アントニオの四つの鉄アームが幸灯に向かう。
カン! カカン! カン! カン! カカン!
鉄がぶつかる音がしばらく続いた。
「ハァー⁉︎」
フリリーは動揺を隠せなかった。
「意外っすね、船長。あんな小物で四つで、こっちの太い腕とと渡り合うなんて…。」
「くぅ〜! ムキー! 布帯が機動力あり過ぎんのよ!」
(フフフ、海賊の方、驚いてますよね〜。この四つの布帯は私の脳からより直接的に行動ができるので反応速度がいつもの
「仕上げです!」
ギュッ! ギュッ! ギュッ! ギュッ!
「ゲゲ、どうしようスミー! 四つの腕が身動きがクナイ付き布帯に縛られちゃった! ちくしょう! 振り解けない!」
「一本どころか四本取られましたね。…あれ? あの子上空に…私らも持ち上げられてるっすよ!」
「んん〜! ふん〜!」
背中のコートから生えてる四つの布帯を幸灯は右手左手二つずつ持ちながら、上空に持ち上げていた。
「私はやればできる子です! 私はやればできる子です! 私はやればできる子です! 私はやればできる子です! 私はやればできる子です! 私はやればできる子です! えいいいいいい!」
ブン! ブン! ブン! ブン!
幸灯はメカを全力で振り回していた。
「「ぎゃああ! 目が回る〜!」」
「悪くて意地悪な海賊さん! 世界の果てまで飛んでいけー!」
幸灯は少しずつ布帯のグリップを緩めていた。
「
「「ぎゃああ‼︎」」
メタリック・アントニオは空の彼方へと飛んでいった。対して幸灯はいつもの服装に戻った。雄美郎が近づいてくる。
「倒せたのか? すげーな。」
「人物とスタイルがわかりやすかったら、余程の方じゃない限りなんとかなりますよ。」
「一見臆病で馬鹿に視えて、本当は勇気あって頭いいんだな。」
「町を救った英雄に対して随分失礼ですね! ……括正が心配なので、私見てきます。」
「ああ。……ちょっと待ってくれ。」
雄美郎は一瞬引き留めた。深く一礼をした。
「武京の住人の一人として、深くお礼をする。ありがとう。後、兄上を大切に。これ以上兄上を不幸にしたら、俺がお前を殺す。」
これに対して、幸灯は二回深く頷くと、その場を走り去った。
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