五章 侍道化/東武の守護者 その6

 一方蓮の区の塔矢港に狂矢は海賊達と戦っていた。

「滅却!」

 バコオオン!

「ちくしょう、また一隻やられた!」

「蛇伸拳!」

「ぎゃああ!」

「伸びる手ええ!」

「しかも斬れねえ!」

 連続で兵士が殴られた。

「雷刻 “揺れ戻し”。」

「ぎゃああ、濡れてるから痺れる!」

辺ー巣矢乱火ベースやらんか!」

 ボオオオオン!

「ぎゃああ! 大爆発!」

「お前ら下等な海賊なんざ実質最下位やないかい! 海賊は皆殺しだ!」

 一方で蓮鳥港。

「ようやくお出ましか、海賊の方々。」

 無数の船を括正は見据えていた。ふと後ろを振り向く。

「蓮鳥港の皆様方、縄は用意しましたかな?」

 人々は返事をしたり頷いたりした。括正は微笑んだ。

「これから言った通りのことが起きます。役割お願いしますね。」

 そう言うと括正は小舟に乗って漕ぎ出した。

「それそれそれそれ!」

 海賊達も勢いよくくる括正に気づく。

「何をやってる、撃ち落とせ!」

「ダメです、船長! イカダで弾いてます!」

「どういうロジック⁉︎」

「やあ、海賊諸君!」

 括正は突然その船の真ん中に現れた。当然皆はパニクる。

『ぎゃあああ!』

『うわあああ!』

 括正は両手をパーにして横に広げた。

「念縛鎖!」

 括正はそう言いながら両手をグーにした。

『ガッ!』

「体が…」

「動かねえ!」

「そして…鎖にきつく縛られたような痛み…」

「意識が…」

 その船に乗ってた括正以外の者は皆気絶した。

「さて…」

 括正は海賊船の後ろに待機させていた小舟に飛び降りる。

「捕縛よろしくね〜。」

 括正はそう言いながら念術の念押しでそぉーっと岸へと押した。

「殺さずは強者の証。目標は全員捕縛。」

 括正は戦前の決心を心に刻んで、向かってくる砲弾を弾いては突き進んだ。

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