四章 獅子騙し/怒れた吸血鬼 その4
兆の区で最も大きな町―
「美空様、そちらは南の島から取り寄せた岩塩でございます。」
「んん〜、ビバッ!」
長い金髪で赤い瞳、で黒い袴に金の星模様が付いてる白い着物をファッショナブルに着こなしたイケメンの殿がそれを触っていた。
「いいね、いいね〜! まるで宝石で、ビバッ! 大量取り寄せよろしこ、じい。」
美空は優しく微笑むと、じいはハハッっと返事をすると、次の品を持ってくるように部下にハンドシグナルをした。
「続いて、古代遺跡で発見された黄金でございます。」
「おお〜! 正しくビバッ! 金に移る僕ちゃんもビバッ! 僕ちゃんのコレクションルームにお願いね。」
じいはハハッっと返事をすると、違うハンドジェスチャーをして、物申す。
「美空様、喉がそろそろお乾きでは?」
「確かに舌がカラカラ、からーん! 喉が渇いた僕ちゃん超かわいそう! じい、ひっどーい!」
「すぐに気づけずに申し訳ありません。おい、赤ワイン持ってこい!」
じいが指示をするとやがて家臣の一人がガラスとワインの入った瓶を持ってきた。その家臣はガラスに酒を注ぎ込む。
「あっ。」
ポタッ。
少しだけ床に溢れた。その家臣頑張れ震える中、美空の瞳は怒りで赤く光る。
「あっ、あの、えっ。申し訳ありま…」
問答無用で美空は刀を抜く。
「
ズシュウン!
美空は刀で縦に家臣を斬った。
「うわあああ!」
痛みで苦しみ倒れ込む家臣。
「美しさのない醜い声を出すな! 美刃ー!」
ズシュウン!
「うわあああ!」
「だから声を出すな、とっとと逝ねー! 美刃ー!」
何度も斬りつけては、震える他の家臣がいるなか、その方が命を落とすまで斬り続けた。
「みんなー! 出でってくれ。この
美空は玉座に座り込んでから睨むと、家臣はその場を去った。美空は腕を一振りした。すると、ワインのこぼれも血の汚れも、まるでなかったように消えた。美空は再び立ち上がり、玉座の右側にある肌色の布で覆われたものを露わにした。縦長の楕円形の金色の鏡を露わにした。美空は両手を斜め上に広げる。
「いでよ霊魂、僕ちゃんの問いに答えよ。」
美空が唱えると鏡の真ん中にまるで小さな太陽のような塊が映し出された。女性の声が美空に応じる。
「お呼びでしょうかご主人様。」
「僕ちゃんの鏡〜。この世で一番美しいのは〜、加々美 美空。つまり僕ちゃん。」
「……自己完結ですか。今日も。」
「ノンノン、本題はここから。僕ちゃんにふさわしい嫁ちゃんが欲しいんだ。」
「ご主人様は嫁が欲しいと?」
「ピンポーン! いいのいない〜?」
「……私は名もなき魔工知能。そのような能力は持っておりません。」
「な〜んだ。残念。」
美空はそう言うと、布で鏡をもとの状態に戻した。ふと、城下を窓から見下ろした。ふとあることが目にはまる。
「び…び…び…ビバ。」
(な、何と可愛らしい美しさ。桃色の髪に赤い瞳に華奢で小柄な体、雪のような白いお肌に素敵な笑顔……僕ちゃんのものにしなくちゃ。)
「衛兵!」
武装された侍達が即座に現れた。
「僕ちゃんからの特別任務だよ。」
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