二章 時空の槍と新たな勇者の目覚め その3
ゴオオオオン!
「……兄上、楽しんでいるな。ったく、武芸より園芸の方が魅力的だと思うのは僕だけなのかな?」
伸正は後ろの爆発に対して思わず呟いた。
「しっかし、堕ちた女神も欲しがるとは…トンデモさんにまた出くわしそうだな。……あいつは、いや今のあいつは来ねえな、チキンだし。」
そのようなことをブツブツ言っていると、伸正は森を抜けて人里にたどり着いた。
「平和な村だな…元気な子供たちに穏やかな老人、活気よく働く大人たち……素敵が揃っているな。」
「シャロ―村にようこそ、旅のお方ー。」
伸正は突然村人に話しかけられた。
「図星のお褒めは嬉しいねー。」
「こんにちは。あなたはこの村が誇らしいんですね。」
伸正は丁寧に明らかに自分より若そうな村人にあいさつした。村人は陽気に返事をする。
「へいへい、もちのろん。オラは学も武もねえが、この平和な村で生まれたのが誉れなんだ。」
「素っ晴らしい! あなたは生きる喜びを味わってらっしゃる。」
伸正はそう言うと、優しく村人の肩に優しく手を置いた。
「その喜びの気持ち、肉体が土に還る日まで忘れないようにね。」
村人はうれしそうに頷くと、伸正は手を彼の肩から放して話を続ける。
「そんな素っ晴らしいあなたに質問だ。この村に“戦士”はいるのかい?」
「戦士? ……力持ちはいるが、武器を使える者や魔法や武術をモノにしてる者はいねえ。」
村人は正直に答えると、伸正は親指と人差し指で自分の顎を触って、首を傾げた。
(どういうことだ? 調査の結果、
「ありがとうございます。僕はしばらくあなたの生まれた素敵な村をブラブラしようと思います。」
伸正はそう言うと村人はんだ、っと反応し二人は別れ、伸正は言葉通りのことをした。しばらくすると、村で一番大きい屋敷の前にたどり着いた。屋敷を取り囲む壁は伸正の腹までくらいの高さだったため、庭の様子はばっちり見られた。
(村長の屋敷かな? …あの青年は強そうだな。ひょっとすると彼が? いや、隣の少年はとても賢そうだ。一人で囲碁とはまた孤独な…彼がもしかして…。いやそのさらに隣の青年は集中力がずば抜けてる。彼が…)
「おじさん誰?」
伸正の思考をある声が遮った。伸正は驚いて右を向いた。それから彼は少し下を向いた。青い瞳とセミロングで金色の髪の少女が彼を睨んでいた。尚彼女は茶色い長袖のワンピースの上に薄いピンクのエプロンを着ている。常に死と隣わせの生活が多い伸正は、なぜか少し動揺した。
(……気配に気がつかなかった。何者だ?)
「おいおいお嬢さん、失礼だな。僕はまだ52歳だぞ。」
「目を覚まして。50代はおじさんよ。」
「……さっきお兄さんね、坊やって女神から言われたんだよ。見方によっちゃ若いんだよ。」
少し落ち込んだ伸正は反論すると、少女は構わず口を開く。
「私は村長の娘、リジー・ランス! あなたがこの村の平和を脅かす存在なら、今すぐ出てって!」
リジー・ランスはそう言いながら、伸正に勢いよく指を向けた。伸正はしばらく黙っていたが、何かを閃き、悪そうな顔と声を出した。
「ケッケッケッ、これだから勘のいいガキは嫌いだよ。そうだぞ。おじさんは悪い悪~い大悪党だぞ。そこまで言うなら出てってやる~。だがそのかわり俺様は違う村をめちゃくちゃにしてやる~。」
伸正はそう言うと、走り出した。
(……! 村に入った時はなかった森の道…
伸正はそう思いながらその道の入り口に入って行った。
(予想通りついてきてるな。彼女がやはりそうなのか?
「待ちなさい悪党! 村以外の人でも酷いことしたら許さない! あなたは刀を持ってるけど、私だって……ビッ、ビンタがあるんだから!」
少女の勇敢な声は森中に響き渡った。
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