第2話⑤『尊敬』と『好き』の違い

秋になった。

「川嶋さん。彼氏とか居ないの?」

「えっ!?居ませんけど……」

「そうなんだ。僕も居ないよ」

「…………」


「川嶋さん。何なら、僕と付き合いませんか?」

「えっ!?えっと……」

あたふたしている弥生。



「ごめん!急にこんな事言ったら、驚くよね?……忘れて!!」

「はい──」

“私は院長先生の事は尊敬してるけど、由里さんや他の職員の人は院長先生の事を好きだし……”



──そう。同じ『好き』でも、弥生自身、圭一に対しては『尊敬』の域を越えてはいなかったのだ。


しかし、由里は圭一の事が『好き』──。

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