第2話 蹴る


 蹴る。その行為はまさに鈍器だった。相手も少女もこれだけは互いに苦笑いを浮かべる。どういう意図かは知らないが、最早少女に会えばそれが挨拶と言っても変わらなかった。

 足、熱くなるのは体。冷たくなるのは瞳。何の為にその様な行為をするのか。分からなかった。何回も無造作にやる内に慣れてくる。少女は一回だけしか相手にやらないはずなのにとっくに慣れている。地面を蹴る。それは少女が怒っているか、踏ん張っているときだ。その豪快な蹴力とうりょくで、いっそサッカー選手になればいいのに。遠くで、見守る。





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