第12話 伊吹有喜『四十九日のレシピ』
あらすじ
熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。
感想
失ってから初めて気づく後悔。
普段、何気なく生活してると、気づかないことがあるんだな、と実感しました。
妻に先立たれた夫。
その夫は、何にもできない男だった。
生活力がないってやつね。
でも、妻自身が死んだ後のことを計画してくれたおかげで、家事全般ができるようになった。
それで、なんとか生きていくことだけはできた。
しかし、妻に対する後悔は変わらない。
妻は、本当に幸せだったのか?
この一つの問いがずーっと頭の中をぐるぐるする。
そして、不倫されて家を失った女の話も並行してされている。
楽しく過ごしていた時は、まさか別れるとは思わない。
しかし、ふいにその別れがきた時、後悔と疑問が頭をいっぱいにする。
自分が普段何気なくしていることが相手にとって不快だったり、許せないことだったり。
それが相手に言えればいいんだけど、言えなくなってしまった時、人は暗闇にどんどん落ちていく。
人間は、生まれてからそれぞれ違った人生を歩んでいく。
生まれてからその後は、誰一人として同じものがない。
まったく別々の道を歩んでいる人が、ほんの一瞬、同じ時を共有して、そして別れていく。
どんなことを共有するのか、
どれくらい共有するのか、
その共有のレベルだけ見ても、人との関係は様々ある。
人との繋がりとは何か、を考えされられる物語だった。
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