第8話 町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』
2021年本屋大賞第1位
あらすじ
52ヘルツのクジラとはー他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれるー。
愛は良くも悪くも人を狂わす。
人と関わることで、心に深い棘が刺さって、もう人とは関わりたくないって思うのに、何かを期待してまた人と関わりを持ってしまう。
家族だからって、無性の愛が受けれるわけじゃないし、付き合っているからと言って同じくらい愛し合っていないこともある。
人間と関わることで喜び、哀しさ、後悔などたくさんの感情が飛び交う。
52ヘルツのクジラは、個数だけ見たら孤独に見える。
けれど、その周波を感じることができたとき、クジラは悦びを感じ、孤独を抜けることができる。
そして、52ヘルツのクジラ同士、寄り添いあって生きていくのだろう。
人だって、フィーリングが合うなって感じるとその人に近づきたくなる。
貴瑚は、大切な人を傷つけてしまった。
大切な人を喜ばせようとしただけなのに。
誰かを知らない間に傷つけてしまっていたことがあったのかもしれない。いや、あった。
生きることが苦しくても、なんとか生きている彼女。
過去の自分を客観的に見れる彼女。
過去の棘は心に刺さったままで。
でも、その棘を溶かすように周りの愛で少しずつ少しずつ包まれていって。
愛って、憎しみを生むことにもなるけど、生を与えることにもなるんだと考えされられた。
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