第7話 ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』
【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】
あらすじ
ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。
筆者が動物学者ということで、湿地の生態系の描写がとても詳しくて面白かった。
湿地の少女という偏見の目で見られ、根も歯もない悪い噂が広がり、差別されていた少女。
殺人の疑いもかけられ、死刑になるところだった。
しかし、彼女にはアリバイもあり、殺人をしたと言う証拠もないのに死刑にするという雰囲気は、人々が偏見の目で見ていたからであろう。
彼女は、幼い頃から孤独だった。家族にも裏切られ、男にも裏切られた。
人間のことが信じられなくなった。誰かにそばにいてほしいという気持ちもあるが、誰も信じることができなくなってしまった。
湿地の少女、カイアのセリフでこんなものがある。
「私は人を憎んだことなんてない。向こうが私を憎むの。向こうが私を笑い物にして、見捨てて、嫌がらせをして、襲ってくるの。そうよ、私は人と関わらずに生きてく術を身につけたわ。あなたがいなくてもいい。母さんがいなくても、誰もいなくたっていいの!」
カイアの心に刺さったトゲは深く大きい。それは簡単には抜けないだろう。
そんなカイアに共感するとこもたくさんあって、カイアのことを抱きしめたくなった。どうか、カイアには生きてほしい。そう思った。
最後に、カイアはテイトという初恋の男と結婚した。この結婚は、テイトがカイアの全てを受け入れたことと、テイト自分がした過ちを素直に認めて 反省したことが結婚に繋がったのだと思う。
残骸でひどい仕打ちをうけてきた彼女、カイア。
彼女は一貫して美人と書かれている。
何があっても強く生きる彼女の姿に感銘を受けた。
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