第13話

 俺は浩美には敵を陽動するところまでしか話していないが、その先にはゴブリンの国へ戦争を仕掛けるつもりだ。


その為にも俺はさらに強くなる必要がある。とりあえず出発の前に自分のステータスをチェックする。




《ステータス》


[名前]

社 智也


[年齢]

40歳


[種族]

人族


[HP]

7000


[MP]

5000


[力]

5000


[物理耐性]

7000


[魔法耐性]

7000


[状態異常耐性]

7000


[器用さ]

5000


[素早さ]

7000


[魔力]

1000


[習得魔法]

なし


[習得スキル]

格闘レベル2

射撃レベル3

料理レベル1

挑発レベル1

毒耐性レベル1

痺耐性レベル1

パワーショットレベル1


[ユニークスキル]

玩具メーカーレベル1

玩具収納レベル1


[スキルポイント]

5634ポイント




うーん!ステータスだけはバランス良く、かなり強くなった。



 俺はこれまで魔法は捨てる形で、ステータス全般を成長させてきた。しかし、そろそろ育成の方向性を考えていかないといけない時がきたのかもしれない。


どんなゲームや物語でも、何にも特化したものがない万能型というのは、序盤は活躍するのだが、後半になるほど役立たずになっていく傾向にある。


ゲームでは、序盤のみ仲間に加わるイベントキャラなんかに多い。



俺は戦う能力が低かった家族を守る為に、近距離も中距離も戦えるこの万能型を目指してきたが、今後両方を伸ばしていくには2倍のスキルポイントが必要となっていく。それでは雑魚の相手にはいいが、強敵相手には通じなくなっていく恐れがあるのだ。



 ファンタジーをよく知る人間には、ゴブリンキングなんてまだ序盤の魔物だろ?と思うかもしれない。魔王や邪神を倒すようなファンタジーならもちろんそうだろう。


しかし、俺の目標はそんな危険な存在ではない。ただ1つ、家族の安全と幸せだけだ!どこか安全な街にたどり着けさえすればそれで叶うのだ。


この世界に来たとき、うちの家が転移したのがもしも安全な街の中だったら、俺は子供たちがある程度大きくなるまでは、魔物と戦おうともしてなかったに違いない。



どんなことをするにしろ、万が一は必ず起こる。おもちゃを作るのもそうだ。完璧にデザインして、完璧な量産体制を整えていても不良品は必ずできてしまう。


魔物と戦うということは、その万が一が、命を失うことに即繋がるのだ。いくら俺が若い頃から異世界チートに憧れていたとはいえ、家族を残してそんな危険は侵せない。



家族を危険に晒す存在が傍にいるから、戦うことをすぐに決断できた。生き物を殺すことに罪の意識を持たずに済んだ。ゴブリンは家族を狙う害虫だと思えたからだ。


そして今、強大な力を持つというゴブリンキングや多くの上位種ゴブリンたちと戦う勇気も家族からもらっている。俺には、【家族の為に】という強い思いがあるからだ!




話しは逸れたが、俺は格闘スキルを伸ばして前衛型か、これまで以上に射撃スキルを伸ばして中·遠距離型かのいづれかに特化させる選択をしようとずっと考えていた。



 俺の武器はもっぱらスリングショットだ。これはゴブリン程度になら間違いないが、もっと強い魔物にはたいしたダメージを与えることはできないだろう。所詮はおもちゃのゴムと玉を改造した程度の代物だ。



では格闘スキルはといえば、どうだろう?この世界では分からないが、様々なゲームでも格闘スキルは存在している。それらのゲームでは大抵が半分ネタ的要素で存在しているのだが、どれもきちんと育てれば、最強クラスの一歩手前まで育つことが多い。武器を買うこともできないこの状況においては非常に優秀なスキルであるのかもしれない。


だが、それはあくまでもゲームの世界ではの話である。現実で剣や槍を持つ相手に素手だけで挑むのはとても危険なことではないのか?とも思ってしまう。今日のひかりのように物理耐性を極端に上げてなければ、素手で防御をした時点で腕を失うかもしれない。


1度でも斬られたり、刺されたりした時点で、最初にゴブリンに刺されてしまったときのように痛みでまともに動けなくなるのではないかと思っている。もし格闘スキルを上げるのならば、敵の攻撃は基本全て避けることが前提となるだろう。


それは格闘技を少なからずしていた俺には、とてつもなく難しいことだと思わずにはいられないのだ。



俺はこれまで玩具メーカーのスキルについて様々な実験を行ってきた。その中には格闘のスキルを生かす為に、ナックルダスターと呼ばれる金属でできた武器を作ろうとしたことがある。


結論から言うと、作れなかった。これが作れれば、防御も可能となり、問題も解決だったのだが、



《それは玩具ではありません。》


と表示されるのだ。



それらの実験で分かったことは、俺自身がおもちゃとしての要素があると無意識に考えているものは作れるのだが、その認識できなくなると作成はできなくなるということだ。


俺の中ではナックルダスターはおもちゃではなく、完全に武器だと認識してるのだ。逆にスリリングショットは武器としても使える威力はあるが、おもちゃとしての要素があると思ってるから作ることができるのだ。




このように色々と考えた結果、俺は射撃のスキルを伸ばしていく選択をした!



俺の考えはこうだ!

スリリングショットより強力なおもちゃを作ろうと思っているのだ。それには玩具メーカーのスキルレベルを上げなければならない。10センチではとても足りないのだ。


俺の本来の構想にはスキルレベル3は最低でも欲しいところだが、ユニークスキルのレベルアップには他のスキルのレベルアップに比べて、大変多くのスキルポイントが必要なので、仕方なく工夫して20センチで作ることにしたのだ。


スキルはレベルを1つ上げるために必要なスキルポイントは、1つ上がると10倍のスキルポイントが必要なのだ。射撃のスキルを例で挙げると、


1→2 120ポイント

2→3 1200ポイント

3→4 12000ポイント


となる。



俺の玩具メーカーでは、スキルレベルを2にするのに3000ポイントも必要だ。つまり、


1→2 3000ポイント

2→3 30000ポイント

3→4 300000ポイント



となる筈だ。そのスキルポイントをケチって、これまで大量におもちゃを作ってきたことで自然に上がらないかと期待して待っていたのだが、一向に上がる気配がない。



今回急ぎで強くなる必要ができたことで、スキルポイントを使ってでも玩具メーカーのスキルレベルを上げる決断ができたのだ!



スキルのレベルを上げると、早速これまで構想していた新たなおもちゃの設計を組み立てていく。20センチという壁がある為、威力は下げざるを得ない。




「できた!!」



これで俺は新たな力を手に入れた筈だ!!



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