第4話:襲撃の始まり
「私は本当にダメダメだ・・・」
「さすがに慣れない空間過ぎたのさ。とにかく切られなくてよかったよ。」
「レイアちゃんが無事で良かったよぉぉ!」
サクラは涙目になって心配してくれているし、さすがのジムも純粋に心配してくれている。
それが何とも情けなくて辛かった。
「それにしてもどうしたんだい?急にふらふら~っと歩いて行ったけど。」
「なんか蠅がいてさ・・・気になってみてたら気づいたらあそこにいたんだよ。」
「蠅?そんなものいたっけ?」
「疲れすぎてついに幻覚まで見ていたのか。」
「ほ、本当にいたんだよ・・・」
(私しか見てないの?)
二人には全く見えていなかったらしく、信じてもらえなかった。
それどころか余計に心配をかけてしまっている。
「とにかく少しここで休もう。パーティーはまだ続くんだから、少し仕切りなおそうじゃないか。」
「・・・うん。」
「私もお腹いっぱいだからしばらく休憩!」
3人そろって広場から離れて空が見える城壁付近までやってきた。
今日はきれいな星空が見えている。
「きれい!」
「これだけきれいに星が見えていると、明日もいい天気そうだな。」
「明日はお休みにしようよ。この後もつかれる未来しか見えないよ。」
「「賛成」」
2人から同意の返事が返ってきた。
やっぱりこういうきらびやかなところは私には合わないなと痛感した。
3人でゆったりとした時間の流れに身を任せて、しばらく休むことにした。
風の心地よさを感じてリラックスしていたその時、静寂を破る声が聞こえた。
「ー闇夜に紛れて全てを遮断せよ-”
呪文とともに王城全体が黒い物体に覆われた。
「え?」
目の前の星空が黒く覆われていく。
(な、なにこれ!?)
「なんだ・・・この魔法は・・・」
「すっごく嫌な感じがするよ!」
ジムとサクラの言葉に、私も黒い壁を凝視する。
炎でも水でも、ましてや他の属性でもない。
未知な魔法で作られた壁のようなもの、ただその禍々しい魔力からこれが良いものではないことだけははっきりと分かった。
「ねえ!すぐジョシュアさんとかに知らせた方がいいんじゃない?」
「そうだな、急いで戻ろう!」
「うん!」
私たちは急いでパーティー会場に引き返した。
しかし、入り口の前で絶望することになった。
「広間が結界で囲まれてるよ!」
「どうやらこれは二重の結界みたいだね。僕たちはちょうど間に閉じ込められているみたいだ。」
「これ・・・もしかして広間を狙って張ったのかな?」
3人の頭に同じ予想が広がる。
その時ドカァン!と音がする。
人の争う音が聞こえる。
(まさかゴア王を狙って・・・?)
心臓の鼓動が早くなって、焦る気持ちが強くなる。
「ど、どうしよう!」
「大丈夫、中にはジョシュアさんだっている。ナンバーズなんだから負けないよ!」
「・・・・・・」
「ねえ、ジムもそう思うでしょ?」
「・・・・・・」
「ちょっとジム聞いてるの!」
「君は本当に落ち着きがないな。集中して考えているときぐらい静かにしてくれないか。」
(よくこの状態で落ち着いて考えられるわね。)
口から出かかった返事を飲み込んだ。
今言い争っても仕方ない。
「で、そういうってことは何か思い浮かんだの?」
「どうして結界を二重にしたのかを考えていた。」
「外から簡単には入れないように!」
「もちろんそれもあると思う。でも、それならもっと隠すように張ればよかったし、広間のここを二重にすれば良かっただけだろ?つまり、主たる理由は別だと思う。」
「例えばどんな?」
「術者を守るため・・・とか。」
「・・・!!」
「広間の中で戦闘するなら、その外に術者がいたほうが結界が簡単に突破されない。それに外側にも張ったら外からの増援も簡単には手出しできないだろう。」
「わざわざ術者退避用のスペースを作ったってこと?でも、結界を二つも同時に張るなんてできるの?」
「この結界に使われている魔法自体見たことないものだ。僕たちが知らいないことができる可能性だってあるさ。それに術者が一人とは限らないだろ。」
「確かに・・・で、どうするの?」
「術者を探して倒せばいいんだね!」
「そういうこと。」
私たちの方針は決まった。
広間の中はジョシュアさんやデルタさんなど強い人たちがいる。
大丈夫だとは思ってる。
(だけど・・・敵がそれをわかったうえで襲撃してきていたら?)
何か策があるかもしれない。
敵にとって私たちが結界の隙間に取り残されたことは偶然なんじゃないだろうか。
(だったら、この状況を打開できるのは私たちしかいない!)
「手分けして探そう!」
「うん!」
「相手の強さがわからない。無理に戦闘しないように!」
こうして私たちは術者を探しに城を駆け回った。
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カインSide
レイアたちが広間から出て行ってほどなくしたころ、突如呪文が聞こえてきた。
「ー闇夜に紛れて全てを遮断せよー”
その刹那広間が何かに覆われた感覚があった。
人々が動揺する間もなく、殺気とともに黒装束の男たちが一気に王の近くに現れた。
1、2、3・・・10人は超えている。
先頭の大柄の女・・・いや、男!?が宣言した。
「レディース・エンド・ジェントルメン!!さぁショーの始まりよ!!」
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