第2章:王都襲撃編
第1話:パーティーへご招待
データスフィアを見られるよになったのちのある日、
「レイア様、朝食の準備が整いましたよ。どうぞリビングにいらしてください。」
「ふぇ?」
私はサクラの家に住まわせてもらっている。
登録試験合格の知らせとともに師匠の下に戻ったのだが、ダリアさんと二人してしばらく旅に出ると書置きがあった。
重要な用事でしばらく帰れないと。
寂しかったが、二人とも強いし何かしたら重要な依頼を任されることは十分あり得る。
それに極秘の依頼という響きがかっこいい。
そして、宿に泊まろうとしていたところをサクラが提案してくれた。
サクラの家族が喜んで私を迎え入れてくれたのだ。
ちなみに別に毎日こんな寝坊しているわけではない。
ちょっと昨日遅くまでサクラと昔話に花が咲いただけだ。
本当に。
「レイアおはよう!」
「ごめん、急いで準備するね。」
サクラは準備万端だった。
(気を使って寝かしてくれてたんだな・・・)
私はさっと身なりを整えて、サクラとともに執事の人に連れられてリビングまでやってきた。
みんな揃っていてどうやら私待ちだったらしい。
「レイアちゃんおはよう。昨日は遅かった見たいだけよく眠れたかしら?」
「たまに夜更かししてしまうなんて言うのもまた青春だな!」
サクラのご両親は朝から元気だ。
受け入れてもらえて本当に感謝している。
「レイアさんおはよう。」
「・・・おはよう」
サクラのお姉さんとお兄さんもそろっていた。
お姉さんのリサさんはバーバリア家の天才令嬢と謳われる氷魔法の使い手だ。
ランキングは14位、サクラを気遣う心優しきお姉さんだ。
お兄さんのガンツさんはバーバリア家では珍しい剣術を使う、ランキング21位の注目株だ。
物静かで寡黙だが、シャイなだけで家族のことを大切に思ってるのを私は知ってる。
師匠のファンらしく、ものすごく話しかけられたことがあるからだ。
朝ごはんを食べているとき、サクラのお父さんから話があった。
「実は今度王様の誕生パーティーが開かれるらしくてね。ただ、私と妻はその日仕事で別の国に出ていて行けないんだよ。かと言って、立場上バーバリア家から行かないというのもあまり良くなくてね・・・リサ、ガンツ、サクラで代わりに出てくれないかい?」
「私たちが出席してもよいものなのですか?」
「それは大丈夫、事前に確認してあるから安心しなさい。」
「パーティーとか面白そう!」
「・・・拒否権はないんでしょ、ならわかったよ。」
「そんなにかしこまった席じゃないから大丈夫よ。きっと楽しめるはずだわ。」
私は少々置いて行かれたまま話が進んでいった。
(これがお金持ちの会話なのか・・・)
王様のパーティーなんてどんなものか想像もつかない。
きっと豪華な食事がたくさんあって、お金持ちの人がたくさん集まって、お互いを誉めあうのだろう。
そんな中権力争いなんかがあって、取り繕った笑顔をした人も多いのだろう。
それから・・・
今まで読んだ本の物語から、私の勝手な妄想はどんどん膨らんでいく。
話しかけられていることにも気づかず。
「ねえレイア聞いてる?一緒に行っていいってさ!よかったね!」
「そうだね。よかったね。・・・え?一緒に?・・・え?」
「もう!聞いてないじゃん!レイアも一緒にパーティーいけるんだよ!やったね!」
「・・・ええええぇぇぇぇ!?」
私は居候だから完全に関係のない人間なのに・・・
どうやらとんでもないことになってしまったようだ。
「というわけで、ジムも一緒にパーティーに行くことになりました。」
「全く説明になっていないぞ。どうして僕も巻き込まれるんだ。」
ジムが不服そうにこちらをにらんでくる。
王様のパーティーなんて行ったら間違いなく私だけ浮いてしまう。
それはさすがにいやだった。
こうなったら一人でも多く巻き込むしかない、運命共同体を作るべく、半ば強引にジムを誘った。
「あんまりパーティー行きたくないの?きっと楽しいよ!」
「レイアの説明が唐突すぎたからそういっただけさ。いくよ僕も。めったに参加できるものじゃないしね。」
「素直に行くって言いなさいよ!」
(全く素直じゃないんだから・・・)
行くなら最初から素直に返事してほしいものだ。
「それで、そんな偉い人ばかりの場所今まで行ったことないけど、僕たちはどう過ごせばいいんだい?」
「ん~なんかパパの話だと子供なんだから気にしないで楽しく過ごせばいいんだよって言ってたよ!どうせ王様忙しいから話す機会はないって。」
「・・・不安だ。」
「これに関しては君に同意するよ。」
私とジムの意見が合うのは2種類しかない。
戦闘中か、よくないことの前触れか。
今回は確実に後者だ。
(これはとんでもないことになりそうだ・・・)
こうして私たちは王様の誕生日パーティーに3人そろって参加することになった。
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