第五話 ファイブファイブⅢ

「「お前か~!」」


「すみませんすみません!謝りますっ!」


するとイザベラは座っていたソファーから飛ぶようにたった。


「ねぇ!私のアイス!ルーナのせいで溶けたんすよっ!」


「えぇっと、あ、後でおごるから許して~」


それならいいっすよ!とイザベラは、どかっとソファーに座った。ここはルーナさんを庇う方が良いのか、リンさんに加勢すれば良いのか…


「えっと…」


「いいよ、寮対抗戦で稼げばいいし。」


寮対抗戦では。

やる側の(寮の)メリットとして、勝つと寮内のオプション?的な物が追加される。

具体例としては、寮を大きくしたり、

テレビや冷蔵庫をつけたり等々…

うちの寮もそうやって冷蔵庫を手にいれたりしていたらしい。

っていうか…


「あの、今ないんですよね、冷蔵庫。」


「うん。ヤバいよ、冷蔵庫ないと。ご飯食べられないし…」


「僕氷魔法使えますよ?」


「氷…?!それ、一流の魔法使いが使う魔法だよ…?」


「そ、そっすよ!り、リツくん使えるんすか…!冷蔵庫代わりで…?!」


あれ…?普通の水属性の人は氷魔法使えないのかな…


「えっとまぁ…はい。使えます」


「よっしゃ~!これでアイス買っても大丈夫っすね~!それじゃいきましょ、ルーナちゃん」


青い顔になったルーナ。イザベラはアイスを沢山買って貰うつもりなのだろうか…

ほどほどにお願いです…と小さな声で話すルーナの顔色は、青を通り越して白だ。

そんなルーイザ(ルーナとイザベラ)を見ながら僕は作業を進める。冷蔵庫の奥の方に氷魔法を

発動させる。

上手くいくか心配だったけど、できたできた!


「ってかすごいね~リツくん、氷魔法つかえるんだね~期待の新人?」


「リンさん…お客さんほったらかしですが。」


リンはハッ!と慌ててライティさんを見た。

ライティさんはいえいえみたいな感じでにこやかとしている。その仕草一つ一つ品があり、上品で──清楚系ですね。


「私は客なんかじゃないですよ。なんせ押し掛けてここに来ましたし…そういえば自己紹介を忘れておりましたわ。ライティです。もう知っているかと思いますが、前は光の寮──せ、セイクリットジャスティス寮の寮長をしていましたの…よろしくね。」


「フッ…せ、セイクリットって…」


セイクリットジャスティス…中二病ですかね、名付けた人…


「ち、違うのです…先代の寮長が適当に名付けると言い、こうなってしまい…」


先代の方は中二病だったんですね…


「んで脱線に脱線を繰り返し、とーっとも話がそれたんだけど…寮建て直すの?」


「えぇ…まぁ、ね。光と闇属性の子が、寮に入れないということは、その属性を学園が受け入れていないようなものですもの…困るわ。」


「じゃあ、学園長にさっさとお願いしたら良いじゃん…って、あれか。あの、試練みたいなのがあるのか。」


試練?滝に打たれたりするやつ…かな?


「いいえ。そんなものではありません。ここの寮の試練は確か…『寮の生徒を4人集めろ』でしたわね…」


「あれですか…大変だったと、リンさんが。」


三人は元々集まっていたんだけど、四人目のルーナを探して説得して…が大変だったらしい。

それにルーナはライティさんのお気に入り。

日没までにって言われていたらしく、ライティさんは渋々OKしたらしい。


「そうですわね…私の所は、もっと大変でして。ちょっとお手伝い願えないかと…」


「どんな条件、報酬かによる、と言いたい所なんだけど…ライティには貸しがあるからね。手伝うよ。」


「ふふ、残しておいてよかった。ルーナをファイブファイブにあげた分の貸し、まだでしたものね?それで試練は──」


「『闇の寮と和解せよ。』なんです…」


「不可能…?」


学園長は、生徒をいじめていますよね…?

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