第三話 ファイブファイブ Ⅱ
「えっと…寮?」
「うん。寮だよ。ファイブフォーは寮対抗魔法戦で優勝し続けてるから、こんなお城みたいになるんだよ。」
それはこの前聞いたことがある。
寮対抗戦では、やる側にメリットがないとな~っていう話になって、優勝すると、寮のお部屋を大きくしたりしてもらえるらしい。
「寮長~ご飯できまし…って誰、アンタ!?」
「あーこいつ新しくはいってきたリツ。仲良くしたげて。」
「何ソレ…こんな得体の知れないヤツと?」
「こら。スウェラ…」
スウェラってい名前みたい。でもなんか完全に不審者扱い。
「こちらこそすみません、急に押し掛けて。…やっぱココ、やめていい?」
「あー!待って待って!この子ここの寮の子じゃないからさ!家政婦みたいな、ほら。」
家政婦?そんなの寮に入れていいの?あと正式に入ろうとしてるのに…あっ、人間不信?
「違う!人間不信でもないから!えっと、部外者をちゃんと寮にいれないようにしてくれてる良い子だから…」
「僕って部外者…?まぁいいや。えっと、僕はリツ。今日からここの寮に入ります…スウェラさんだったっけ?よろしく。」
するとスウェラ(?)はころっと表情を変え、
「私スウェラだよ!ここで家政婦やってます!よろしくね!」と笑いかけてくれた。いや…さっきまでの態度は何だったんだ…
「実はスウェラ、フラワーブロッサムの所の子なんだよね。寮対抗で負けちゃって。」
「え怖すぎじゃないですか。人を?景品に?」
「違…わなくないけど。そんな怖いもんじゃないから。」
いや、奴隷みたいになっているような…
でもさっきご飯できましたーって真面目に働いていたから、いいこなんだろうな。きっと。
「寮ちょー?その子が新しくここにくる子っすか?!めちゃくちゃイケメンじゃないすか!」
イケメン?あんまり言われた事ないけど…
「はじめまして。リツです。」
「はじめましてっす!私はイザベラ!ここの寮入ってるっす!」
なんて言うか…元気!
「イザベラは特に闇魔法が得意なんだ。はは、あんな元気なのに。」
「なんか…心に闇抱えてそうですね…」
「必殺技、まじで闇あるから。」
「ちょーっとぉ!?これ以上私のキャラっぽくない事言うのやめてっす!一応気にはしているんすから…」
んもう、寮長たら…と頬を膨らませる。
なんだろ、犬属性あるよな…
「さ、寮の中に入ったわけだが…あの2人は?」
「知らないっすけど…あ、来たっす!」
そこに来たのは…美男と美女。いや、美男子と美少女と言った方がいいかもしれない。
「リツくんはじめまして~私はルーナ。得意なのは光──だけど、イザベラとはとても仲が良いから、大丈夫よ。」
最後の言葉は、さっきリンさんから聞いた、光と闇は仲が悪いとかいうのを気にしていってくれたのだろう。
にしてもほんわかした人だ。光属性だ…
「サキ。僕は緑が得意。よろしく。」
サキさん…かな?年上だし。サキくんはわりと静かな人みたい。喋らないタイプは得意ってわけじゃないけど、嫌いじゃない。
「あっ、ちなみに俺は火が得意だよ。」
「ん、じゃあ全属性揃いますね。僕水です。」
「わぁ~運命っすね!被らないなんて!」
「すごいねイザベラ~ビンゴだよ~!」
「お!すごいじゃん!ってかさ~ファイブフォーじゃなくなるね。」
そういえば…
ここの寮は、火とか水とかの属性を全て持っているから、ファイブ。そして初期メンバー(今の4人)が4人だったことからファイブフォーと名付けられたらしい。ダサいような、カッコいいような名前。微妙だ。
「そっすね!んじゃぁ…ファイブビンゴ?」
「違うよ~!ビンゴって何なのよ…」
「んじゃあ…」
「ファイブファイブとか…どう?皆」
ファイブファイブ…そのままっぽいけど、良い名前だ。
「良いと思います。そのままですけど。」
「いいっすね!そのままっすけど。」
「いいね~そのままだけどね~」
「賛成…そのままだけど。」
「お前ら賛成してるけど、けなしてないか?」
けなしてるつもりはなかったんですけどね。
でも何か、名前が変わることで、僕が入った感じがする。
「まいいか…俺達の寮にリツが来た…それと名前は──ファイブファイブに、決まり!」
リンはリツを見つめて誇らしげにそう宣言した
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