第ニ話 主人公は最強(?)
大きなお城のような学園の表門をくぐる。今日で転校して2日目だから…慣れない。
僕はリツ。ブラックベーラ王立魔法学園に通うごく普通の生徒になりたかった、五つ属性を持つ生徒です。
何か生まれつき五つ属性があるとかで、学園に入ったら五つ持ってるの?とかあーだこーだとクラスメイトとか先輩とかに言われて…
入る時は目立たないって決めていたのにさ。
そして今日は確か、寮とクラブを決めてと言われた。
これだから嫌なんだよ。転校は…
ミドルスクールに通っていたとき、一度だけ転校した。
その時…五つの力を持っていることについては隠し続けていた。でも、色々あってばれてしまった。
ばれた瞬間、友達が友達として接してくれなくなった。
先生が、生徒として接してくれなくなった。
そして転校した。皆と僕が友達じゃなくなったから。
心は弱いんだろうな、僕。
「君がリツ?」
「はい?…って、リン先輩じゃないですか。」
リン先輩。転校初日──昨日から僕に興味があるとか言っていた人。
「な、今日、寮決めでしょ?どこにするの?やっぱりファイブフォーにするよね!?」
「だからその、ファイブフォーって何なんですか…どんなとこなのか分からない寮に入れというんですか…?」
「え?ファイブフォー知らないの?」
リン先輩による、ファイブフォーの説明が始まった。
「ファイブフォーはね、五つの力──属性の事ね。それを持って生まれてきた人のみ入れる寮なんだよ。で、俺はそこの寮長やってんだ~」
「え?寮長?リン先輩すごい人なんですか?」
「ファイブフォーは全寮最強だよ。寮の人数は一番少ないけど。あと俺はすごい人なのかもしれないけど、俺の事はリンって呼んで。あと、敬語は不必要だからね。」
「了解です。リンさん」
「いや…敬語…リンさんって…」
顔には、えーそこは名前で呼べよーと言っている。顔に出やすい性格なんだろうか。
「まっ、いいか。んで…入るの?入らないの?」
「まだ他の寮がどんなところなのかが分からないので…」
リンさんは、えーほかの寮なんてつまんないよー、見る必要ないよーという顔になる。いやホント、顔に出やすいな…
「ま、考えといて~」と言うと、クラスに帰っていった。
僕は僕で、寮長に挨拶に行きがてら、寮の説明をしてもらうことにしよう。学園長から言われてるし。
「おう、リツだったか?」
「あぁ、カエン先輩。」
カエン先輩。火の属性の寮長。寮の名前は…
ファイヤーフレイム。翻訳すると、火、炎。
なんかいい名前言おうとして失敗した感が半端ない。しょうがないか。カエン先輩、脳筋だろうし…
こういう人は、すごく苦手だ。
「お前、五つ全て持っていると言っていたな!すごいな!」
「あぁ、はい。どうも。」
「それにしても…男にしては筋肉がないぞ?もっと鍛えた方がいいんじゃ…そうだ!寮に来てくれたら、お前のために、トレーニングメニューを考えてやろう!どうだ?」
ほら来たよ。いらんし、とも言えないから一番面倒だよ。脳筋先輩。
「えぇっと…いらな…じゃなくて、ほかの寮も見てみますね。ははは…」
「そうか?じゃあな!」
あの人と毎日とか死ぬって。絶対。
出来れば今後関わりたくもない。
次は水の寮長だったっけ?まだまともそうだ。
「あら。あなたが五つ持ってるリツね。私はウォータ。よろしくね。」
「はい。リツです。よろしくお願いします。」
「ちなみにだけれど…ここの寮は他の寮に比べて人数が多いの。けれど、あなたのような五つ持った人はいないから、もし来てくれるなら、歓迎するわね。」
「はい。ありがとうございます。」
なんかさっきの脳筋先輩にくらべたら、ちゃんとした人なんだな~と思ってしまう。でもこれは比べる相手が悪いか。筋肉バカだし。
そういえば寮の名前はアクアブルーっていう名前だった。全寮ダサい名前になってるのかな?
そしてウォータと別れ、草の寮長へ会う事に。
「あぁ~えっと…草の寮長リーフです…あのえっと…リツ?さん?ですか?」
なんか…超内気って感じの人…この人も、僕にはちょっと合わないかなって感じ…かな?
「はい。はじめまして…リツです…」
なんか、ちょっと声が小さくなってしまう。移るんだよ。口調が。
「あの…そゆことで…考えといて…ね?」
説明が早い。でもこの感じだと、頑張ったほうなのか…な?
「あ、はい。では…」
なんか変な感じで終わっちゃったな…
一応寮の名前は聞いた。フラワーブロッサム。ここだけ良い名前…!
次は…
「さっきぶりー!リツ!ファイブフォー入ってくれる!?くれるよね!」
「入ります。全部見たけどイマイチだったので。あと聞きたいんですが…光と闇の寮は?」
「あったよ。消されたけどね。」
消された?リンさんによると、光と闇は、属性でお互い相性がとても悪い。
寮対抗魔法戦では口論になってしまい、戦いどころではなくなってしまったそう。
「まー、入ってくれるならいいや!じゃ、これからよろしくね!」
リンさんはピースしながら僕を寮へと導いた。
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