第28話
ぎろりと、巨大ウサラビーが少女を真っ赤な目で睨んだ。
どうしよう、どうしよう。
私、さっきから震えが止まりません。
ガクガク、ガクガク。
か、か、か、歓喜!
「でかいウサラビー、でかい核、うんまくてでかい……ひゃはーっ!」
びゅんっと前足を少女に振り下ろそうとしていた巨大ウサラビーの鼻先を蹴り上げる。
グリンと勢いよく宙で三回転ほどして、巨大ウサラビーが天井にぶち当たって、落下。
ちょ、力加減したよ?
まだ生きてるよね?
急いでおしりにまわってしっぽを……。
このサイズなら、握っても構わないだろう。
って、尻尾もでかすぎて、手で握るなんてできない。
こりゃ、両腕で、ぐっと。
ぐしゃべっ。
「ぎゃーっ!両腕を回したら、羽交い絞め!いつもの癖が!いつもの癖がでたーっ!」
力込めてしまった。
ぐしゃべって、ぐしゃべって。
あああああ、ぱぁーんと勢いよくはぜるように巨大ウサラビーが、き、え、た。
巨大ウサラビー……の、巨大核……は?
呆然として立ち尽くす私の前に、少女が来た。
「助けていただき、ありがとうございます」
その隣に分身たちが同じように頭をさげる。
へ?
助けた?
記憶にないんだけど?
きょとん。
そんなことよりも……。
「魔活性って、次はいつ?」
巨大ウサラビー、今度こそ力加減間違えない。核、とる。
「さぁ?昼間の魔活性は数年に一度……それが今日だったのは運が悪かったとしか」
キラキラピカーン!
夜。
そうか!
夜!
夜になれば、巨大ウサラビー天国。
しっぽを握って握って握り倒せば、力加減も学べるんじゃなかろうか?
「だ、大丈夫ですか?口から……その、垂れてます」
ん?
少女の声にハッとする。
何か、口から、垂れてましたかね?気のせいじゃないですかね?
「急いで出ましょう。また現れる可能性があります。さぁ、みんな急いで」
てなわけで、分身さんたちと大人しく外に出ました。
少女は魔窟の総責任者みたいな人に話をしにいってます。
ん?少女が私を見て指さした。
何?私、なにかした?
……巨大ウサラビーの核を手に入れるチャンスを潰しちゃったことを非難されても……不可抗力。
力加減ができなかったんだもん。……っていうか、いつもの癖で……。
両手を広げて、がしっと手を回すのって、は、が、い、じ、め。それが我が家のルール。
ハグ?ナニソレ、甘く切ないって意味が分からないんだけど。
強く締め付けすぎて、せっかく食べたお菓子でもあがってきた?
そりゃ、甘いし、切ないねぇ……。
ハグ、怖い!
あわわわ、なんだか、私をチラチラ見てる人が増えてる。
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