第23話
「だ、ダメだよ、核まで潰れてるよ。ちょっと強く攻撃しすぎ!」
へ?
足元を見る。
薄紫色の美味しい奴、ない……。
「ちゃんと核を避けて攻撃するんだよ」
少女の言葉に、足で踏みつぶすなんて乱暴な倒し方はやめ。
こんな時は……。
「でこぴぃーーーんっ!」
まぁ、スライムのでこがどこかなんて知らんがな。
核を避けて、親指と人差し指でわっかを作ってから、人差し指を弾いて当てる。
すぱぁーーーんと、デコピンかましたスライムが飛んで行って壁にぶち当たって……消滅した。
「あ」
少女が声をあげる。
「あーあ」
少女2も声をあげる。
「あーあーあー」
少年も声をあげる。
う。もう、わかったよ。
これって、ダメな子を見た時に、思わず出ちゃうあれよね。
しょうがないなぁってやつだ。
「いるんだよ、不器用なやつ。力加減とか全然できない、なんて言ったかな」
ぶ、ぶ、不器用って言われました。目の前の年下らしき少年に……不器用って。
「そうそう、筋肉ば……むぐぐぐ」
その後の、筋肉ばの続きは、少女が少年の口をふさいで聞き取れなかった。
筋肉ば?何?筋肉の話は大好きですよ?
どこかに、筋肉王という2つ名の素敵な方がいるっていうお話なら、いくらだって聞きますわ!
「実は、私はこの部屋の責任者なんです」
責任者?
え?
魔窟に責任者なんている?
あ、そういえば入口に門もあったし、ギルドが管理してるし……。うわぁ、私知らないことだらけ。
「無謀にも、初心者で能力がないのに先に進もうとする子を止めたり、能力がついてきたら先へ進んでもいいと助言したりする役割があるの」
へー。
なるほど。学園でいうところのクラス委員みたいなもの?ここにいる私の分身……のような服装の子たちをまとめる役割?
「それで、あなたはもう少し先に行った方がいいと思う」
にこりと笑って言われました。
ズキィーン。
私、これ、知ってる……。
社交界でよくかわされる言葉だ……。
「あなたにはもっとふさわしい場所があるのではなくて?」っていうやつ。
あの言葉の意味は「てめーはここにふさわしくねぇんだよ、どっか行けやぼけぇ!」だとお母様が教えてくださいました。
う、うう、うう。
ごめんなさい、私、ここでは役立たずの邪魔者……。
うごうごとうごめくスライムを見る。
核……美味しかった。
でも、私には取れない……。
核……食べたい。
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