第22話
「核?ナニソレ、オイシイノ?」
「うん」
え?
「オイシイノ?」
「うん、おいしいよ。核を10個集めると銅貨1枚。時々でる色違いの核はもっとおいしい」
あ、おいしいって、収穫として……ね。
そうか、そうだよね。趣味で魔窟に潜って、趣味で魔物倒してる場合じゃないんだ。
……やべぇやべぇ。趣味で魔窟に潜って、趣味で魔物倒すところだったよ。
お母様から持たされたへそくりが無くなる前にちゃんと稼ぐことも覚えないと。
「魔窟制圧は、遊びじゃねぇんだよっ!ってことですね?」
と、理解の早いところをアピールするように少女に笑いかける。
「魔窟制圧は遊びでしょ?」
きょとんとされた。
え?遊びなの?
「だって、制圧すると消滅しちゃうんだもん。危険は魔窟は制圧しないといけないけど、安全な魔窟は制圧するバカはいないわよ」
ま、魔窟を制圧するのは、バカ?
「え?」
「はい、とれたよ」
少女が目の前でスライムをスコンと叩いて倒した。そうしてどろどろと溶けてスライムが無くなるその寸前に、体の中から出てきた薄い薄い紫色の爪の先の大きさの小石みたいなものをつまみ上げる。
「知らないってことは、はじめてかな。特別に上げる。とれたては格別だよ」
少女の手が伸びて、私のポカーンとしてる口の中に、スライムの核とやらを放り込んだ。
暗殺される!
……わけないか。
「ふにゃ……」
お、おいしい。甘い。甘くて、ほんのりなんだろう、フルーツのような風味が鼻から抜けて……。
「へへへ、とれたては美味しいよね」
「おいしい、めっちゃおいしい!」
私ってば……こんな美味しいものを、今まで焼き尽くしてきたと……?
足から力が抜け落ちて、両手をついてしまう。
なんという愚かな行為を繰り返してきたというのだ……。
「色違いの黄色いのはもっとおいしいんだよ」
もっと、おいしい……?
ぐおおおおっ!スライム、今まで焼き尽くしてごめん!あたし、心を入れ替えた。
入れ替えて……
「ふみっつぶすっ!」
ぎゃははははっ、待て待てー。踏んじゃうぞ、踏んじゃうぞ!
「あ」
少女が声をあげる。
「あああ」
少女2が声をあげる。
「ああああああああ」
少年が声をあげる。
って、さっきから何をっ!
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