第17話

「あ、わかります?そうです。買ったばかりの初心者用の装備です。初心者冒険者に見えます?」

 私の言葉に、男の後ろに立っていたひょろ長い男が吹き出した。

「ああ、だから俺様が、親切に色々教えてやる」

「本当ですか?」

 そりゃ、助かる。

 私が行ったことのある魔窟は、なんか穴があって、その中が魔窟になっていた。

 ここは、私が言ったことのある穴の4倍くらい大きな入口みたいなものがあって、その周りに木で囲われた門みたいなのがあるんだよね。人が作ったんだろうけれど、なんで?

 お金を払って入るのかな?なんで門なんて必要なんだろう?

 見張りの人みたいなのはいないから、お金は払わなくていい?それとも近隣の街のギルドとかにあらかじめ申請が必要だとか?

 さっぱりわからない。

 教えてもらえるの助かると思って笑いかける。

「おいおい、誰か教えてやれよ」

「あいつ完全にカモられてるぜ」

「あんな初心者丸出しですって恰好して、キョロキョロ当たり見回してるんだもんな」

「なんで一人で来たんだよ、ってか誰か助けてやれって」

 何やら周りでぼそぼそ話をしています。

 なんか、誰か教えてやれよって聞こえましたが、今目の前にいる歯が半分ない冒険者が教えてやるって言ってるんで、大丈夫ですよ?

 初心者丸出しって聞こえたし、ふふふ、無事に私はどこにでもいる初心者の冒険者の少年に見えるようです。

 変装の天才!作戦通り!

「んじゃ、授業料貰おうか」

 目の前の男が手を差し出した。

 授業料?

 あー、そうですよね。無料で教えてもらおうなんてそんな世の中うまい話はないですよね。

 学園も、すんごいたかい授業料でしたし。

 貴族しか通えない学園でしたが、その貴族の中でも、お金がないと学園に通えなかったりしましたし。

 子供が3人いても、優秀な一人だけしか通わせられないとかいう家もありましたし。

 授業料、必要。

「おいくらですか?」

 なんせ、冒険者のことを色々教えてもらうんだ。

 私としては、学園に授業料より高くたって払うつもり満々。

 とはいえ、お母様からもらったへそくりは無限ではない。……あんまり高いと困るなぁ。出世払いっていうんでしたっけ?

 魔窟で稼いで後払いじゃだめかな?

「おいくらですかって、ぷっ」

 男の後ろのひょろ長い男がまた吹き出した。

 どうにも、笑い上戸らしい。っていうか、笑いのツボが全然分かりませんが。

 いや待てよ?

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