第15話
いくらなんでも一生逃げ回るわけにはいかない。北の国も、ずっと次期王が決まらないまま何十年も時間をかけるわけにはいかないということで納得してくれた。
つ、ま、り、私ってば、たったの3年逃げられれば、自由の身よ?
「は、はい、もちろん。必ず本人が」
「そう、その言葉を聞けて良かったわ。配下に連れてくるようにと命ずるような方とはお会いしたくありませんもの」
だって、そうでしょ?ずるいよね?
私は一人なのに、無効は無数の配下がいて、私を捕まえようとするなんて、ずるいよね?
さて。これで、伝えることは伝えたかな。
「それでは、ごきげんよう、皆さま」
にこりと笑って、大地を蹴る。
びゅーん。
「え?リザ様!」
「どちらへ?」
「おい、リザ様を追え!」
「いや待て、リザ様は若君に直接迎えに来るようにと」
「そういうことか!すぐに戻ってご当主様に報告を」
「王都で準備を整えている場合ではない、すぐにリザ様をお迎えに」
なんか焦った声が聞こえる。って、のんびり相手の出方をうかがってる場合じゃないのよ。
森の中を駆け抜け、気配を探り、周りに追ってがいないのを確認してから、かつらをぽーい。
ぐっふっふ。
天才な私は、実はかつらをかぶっていたのでーす。
街に準備に出て初めにしたことは、髪の毛をバッサリ切ること。んでもって、元の髪の毛に近いかつらを買って、かぶってました。
それからドレスを脱ぎ捨てる。
ぽーいっと。
ドレスの下から出てきた服装は、どこにでもあるようなシャツ、どこにでもあるようなズボン姿。
むっふ。
そうです。
私ってば、天才。こんなこと思いつくなんて、他にいないんじゃないかしら?
女性の私が、男の恰好をするのよ!
もう、これで、絶対に見つからないわよね!
しかもよ、しかも!
忘れずにひっつかんできた荷物の中から、冒険者としての装備を取り出す。
ちゃんと、買いそろえました!
ギルドへ冒険者登録に行ったときに、親切な受付のお姉さんが「初心者セットの販売を行っておりますが、お求めになりますか」って教えてくれたのだ。「こちらのカードを持って行けば、提携の武器屋で1割引きで購入できます。私には3パーセントが入ります。お互いにウマウマなので、ぜひ」
と、1割引き券までくれたの。
お姉さんってば本当に親切。
3パーセントが何なのかはよくわかんなかったけど。
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