第8話

 あっという間に3日がたち、北の国へと出発した。

 むぅー。

 走った方が早いんですけど。

 めんどくせぇな。

 馬車に揺られて、2日。

 ケツが痛い。おっと、失礼。乙女がケツだなんて。

「おケツでしたわね」

 隣に座っている隣国から派遣された侍女が怪訝な顔をした。

 ん?ケツに「お」をつければいいんじゃなかったっけ?シリが正解?おシリだっけ?

 ああ、もう何でもいいわ。

 あ、そうだ。座ってるから、痛いんだわ。

 空気椅子。そう、鍛える時間だと思えばよかったんだわ!

 この、揺れに負けずに一瞬たりともぐらつかず、空気椅子を続ける。それを、到着までの間、一睡もせずに続けるなんて。まぁ、なんて素敵な訓練の時間!

 うーん、空気椅子だけじゃ、物足りないかしら?ほかに何か鍛えるには……?

 ああそうだ。魔法の訓練も同時にしましょう。

 えーっと、感知系くらいかしら、今できるのは。

 このあたりに魔の物が、どれくらいいるのか……っていうのは、魔窟でもないんだからほいほい魔の物がいるわけないし。

 仕方がない。人間で感知能力を鍛えよう。人間って、魔の物より魔力が貧弱な人が多くて、訓練にはもってこいよね。

 それにしても、母を1とすると、妹はその10分の1くらいしか魔力がなかったから、魔力すくねぇ!と思ってたけれど、お母様が特殊だったんですねぇ。

 で、その妹を1とすると、学園の他の生徒はほとんどは100分の1くらいしかなくて、魔力少ない!と思ってたんだけど。

 妹も特殊事例だったんですね。

 妹を1とすると、学園の外の人間なんて1000分の1、魔力があるのかないのか分からない人間もそこそこいたし。

 だけど……妹を1とすると、3とか4とか……母の半分くらい魔力がある人も世の中にはいる。

 ……はじめてだ。正直驚いている。

 使者として私を迎えに来た北の人間。総勢30名ほど。

 私の身の周りの世話をするための侍女が4名。

 責任者の男性が4名。

 護衛騎士が8名。

 馬車は4台で御者も4名

 ……まぁ、平等にそれぞれの候家から1名の侍女と侍従長と御者、2名の騎士が来てる。

 魔力はにたりよったりで、妹を1とすると、10分の1くらい。

 ……学園の人間の10倍もみんなあるんだから、北の国の人間すごくね?

 いや、もっとすごいのは、護衛として雇われた、残りの10名。

 姿からすると、冒険者みたいなんだけど。

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