第6話

「まさかね、リザ。いくらあなたに非がないとは言え、婚約破棄を3回もされた娘となると、国内では嫁の貰い手が……かなり格下になってしまうのよ。それもかわいそうかと……2回目の婚約破棄をされたあなたを見て、まさかとは思うけれど、2度あることは3度あるともいうしと……。もし、3回目の婚約破棄をされたら、北の国へ娘を嫁がせましょうということに……」

「あー?えー?いや、じゃぁ、婚約破棄されなきゃどうなってたの?」

「四女が嫁いで終わりだったけれど」

 お母さまがけろりといった。

「ぬ?」

 ちょっと待てよ。

「相手には私か四女かどっちかを1年後に婚約させるって言ったの?向こうもどっちでもいいって感じだったの?」

 失礼じゃない?

 失礼じゃない?

「なんか、最近魔窟が活性化してるみたいで、北の国では強い血が欲しいみたいで、本当にどっちでもいいから頼むって切実みたいで」

 お母様、どっちでもいいって言われて嫁ぐ私の身を考えてほしい……。

「なんか、四大侯っていうのが北の国にはあるんだけど、その侯家から王が排出されるのね。それがね、なぜか次期王は、リザを嫁にもらった侯家がなるって話にまで発展していて」

 は?

「つまり、リザを捕まえた侯家が北の国の次の王様になれるのよ。でね」

 こんこんと話の途中でノックの音が。

「奥様、隣国より使者が到着いたしました」

「あら、婚約破棄パーティー……いえ、卒業パーティーの日付は伝えてありましたが、早いですわね」

 お母様、婚約破棄パーティーってはっきり言い間違えましたね!

 くっ。

 そりゃ、卒業おめでとうな感じでないことは確かなパーティーですけど!それも、在学中の3年間ずっとな!

 1年の時も2年のときも、卒業生で主役のはずの今年も!

「ちょ、お母様隣国の使者って、私、結局、誰と婚約することに……」

 お母様がニコリと笑った。

「だから、四大侯のうちの誰かよ。好きに選べばいいから」

 好きに選べばいいって……。

 一見、自由が与えられたようだけど……。

 私が選んだ人が、王になるってことはだよ?

「誰を選んでも王妃コースになるってことじゃない?いやぁーーーっ!お母様、せっかく私、王族から逃げられると思ったのに、思ったのに、無理ぃ、無理ぃ」

 冒険者になるんだい。

 魔窟つぶして回るんだい。

 魔討伐しまくるんだい。

 魔法を好きなだけぶっ放しても怒られたくないんだい。

 メイスでごすごす殴って、槍でぶすぶすぶっ挿して、剣でずばずば切り刻みたいんだいっ。

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