第48話  パイ

 今日は護衛付きで御者もいる為か順調に進んでいた。2度程魔物が出たようだが、進路上にたまたまいただけの為、先頭の兵士達があっさり倒しており特に問題はなかった。


 コウは折を見てフレンダにお願いをした。


「なあフレンダ。トリトにそれとなく伝えて欲しいんだけど、スカートを履いて座る時は前を隠さないと下着が見えてしまうと。実はさっき、その見えていたんだ。ただ俺がそのまま伝えてしまうと彼女が傷つくかと思い、気が付いていない振りをしていたんだ」


「あーなるほどね。それで時々トリトの事を見ていたのね」


 コウはトリトをちらちらと見ていた事にフレンダが気が付いていたので、冷や汗が出てきた。


「分かったわ。彼女が傷つくと思うから、コウがトリトの下着に興奮していた事は黙っていてあげるわ」


 コウはただお願いするねと伝えるのが精一杯だったが、首をひねっていた。フレンダが本格的にからかうでもなく、意外とあっさりと引き受けてくれたから拍子抜けしたのだ。先の一言はからかいのうちに入らない。いつもの事だ。


 その後はフレンダが話をしてくれたようで、トリトはスカートの中が見えないように気を使うようになっていた。


 コウは正面に座ったトリトの事をやっとまともに見られるようになった。しかし、トリトが話してきた内容に驚き焦ってしまった。


「あの、そのな、コウ。私の下着が見えていたのだな?」


 コウは項垂れた。フレンダが教えたからだ。


「ごめん。中々言い出せなくてさ。フレンダに下着が見えるからガードの仕方を教えてあげてとお願いしていたんだ」


「いや、その、実はコウの反応を見たくてわざとだったんだ!と言いたいが、本当に知らなかったのだ。今から考えると見ないようにしてくれていたのが分かるし、ちゃんと傷付かないように配慮をしてくれていたから、やはり私の見込んだ通りの紳士なのだな。確かに私の事をチラチラと見ていたのには気が付いてはいたのだが、あの時見えているぞと言われたら、もしも穴が有ったら入りたいと思った筈なのだ。怒っているのではないぞ。寧ろ知らぬ振りをして黙っていてずっと下着を鑑賞するようなゲスな真似をせずに伝えてくれた事に感謝をしているのだ。その、何だ、コウには全てを見られても構わないが、他の男には見せたくなかったから、ガードについて教えて貰ったのは有り難いのだ」


 トリトにしては歯切れが悪く、最後の方はコウには聞こえなかった。

 ただ、その後は特に何も問題なかったが、その日の宿の出来事で少し問題が発生した。フレンダの同行者は全員女性だと言う事になっていた。つまり、女4人組という事になっており、必然的に一番良い部屋で4人が一緒の部屋になっていた。


 ベッドは4つ有るが、コウは一番端のベッドにし、少し動かして皆と離した。そうする事でコウは納得していた。


 また、風呂を上がりに部屋に戻ってくると、上半身裸のトリトがベッドでコウを待っていた。ただ、胸にはタオルが掛けられており、コウによるおっぱいの確認と治療を今か今かと待っていた。


「あのな、今からトリトの胸を触診しなければならないが、これはあらかじめ断っておくが、いやらしく触ったりするつもりはないが、ただ体が反応すると思う。なるべくそうしないようにするが、そもそも俺自身女性経験がないから、女性の裸には免疫がないし、俺も男だ。だから興奮すると思う。俺もさすがに目には焼き付ける事になるし、イヤらしく触らないとはいえ、性的な目でどうしても見てしまう。いくら取り繕っても仕方ないから正直に言っているが良いのか?」


「ああ、少しくらいならコウの好きに触ってくれても良いぞ。胸を見て貰う駄賃代わりだ。そうだな、10数える間は堪能してくれても良いぞ。さあやってくれ」



 コウはため息をついていた。その提案についうんと返事をしそうになっていた。それをすると嫌われると、自分に言い聞かせていた。


 トリトの求めもあり、皆の前でトリトの胸の形を目視確認し、軽く揉んだり押したりなどの触診をしたが、不思議と一切興奮する事がなかった。フレンダが時折股コウの間を見ていたが、大きさが変わっておらず、それはそれで驚いていた。結局真面目に触る事しかせず、コウ自信が驚いていた。


 また、収納にあったスマホにてトリトの上半身裸の写真を撮り、本人にこれで良いかと確認させていたが、スマホの存在に驚く以外は問題なく、夢にまで見た自分の中の理想の形のおっぱいだと泣いて感謝をしていた。コウが性的にも我慢しきっており、トリトはそんな紳士的なコウの虜になっていた。


 実はコウは今は性交渉ができない状態になっていた。以前フレンダを犯そうとした時にそうなったのだ。踏み留まった訳ではなく、宏海に掛けられたある種の加護の副作用でそうなっており、コウの陰部は性交渉出来る状態には今はなれないのだ。薬などで本人の意志とは関係なく強制的にそうする事や、朝の生理現象以外では元気になれなくなっていた。また、コウは召喚により壊れていた。最初の時間遡行が加速させたのだ。本来の彼の性分では以前フレンダを犯そうとした、あのような状況にはならないのだ。謂わば無くした半身の影響で、凶暴に無慈悲になっている状態なのだ。宏海がギフトにて無意識にだが、時折コウに干渉出来ていた為、精神崩壊には至っていないが、コウは本来無口で礼儀正しい。人の名を呼ぶ時も常にさん付けなのだ。元々消極的な性格も今はオラオラに近くなっていたのであった。ただ、変わらない部分もある。それは仲間に対する責任感とリーダーシップを取ろうとするところであった。

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