第40話 夢だった
コウの呻き声を聞いたクルルがコウに提案をした。
「じゃあアタイがコウと一緒に寝るニャ。もうおまんと番いのようなものニャ。それにあたいはれっきとした大人ニャ。だから番を自分で選べれるし、おまんから子種を貰っても大丈夫ニャ。おまんはアタイの尻尾を熱烈に触ったニャ。あたいもそれを受け入れたからもうあたいの全てはおまんのものニャ。」
すると次にフレンダが慌てて話に割って入った。
「ダメよ。彼の子供は私が産むんだからね!コウ、私に子種を頂戴!あなたの子を産みたいの」
そうすると次にトリトも反応した。
「だめだ。コウに私の胸を見られたからには、私に子宝を恵んでくれなくば困るのだ。コウ、私にコウの子を産ませてはくれないか?」
3人に抱きつかれいつの間にか逃げ出せないように縛られていた。コウはおかしいおかしい!こんなにモテる筈がない!何かがおかしいぞ!そう思っていると三人に押し倒され、ベッドに横になった。
「だれかを選ばなくても大丈夫ニャ。おまんがあたし達3人を抱けば済むニャ」
二人は頷き、フレンダが顔を近付けてコウに迫った。
「ねえコウは誰から食べるの?」
そう言われ、ああああ!となっていると、溺れそうになり目が覚めた。
そう部屋に忘れ物を取りに行ったわけでもなく、お風呂に入っていたのだ。湯船に浸かっており、いつの間にかウトウトし、そういう夢を見ていたのである。
俺って最低だなと思いつつ、トリトが女のわけないよな?俺ってあいつが男に思える位に、欲求不満なのかな?等と思ったのだが、早く上がってやらないと次に入るトリトが困るなと思い風呂を上がる事にした。
風呂場はタイル貼りで、湯船はヒノキに似た木で出来ていた。
コウは直ぐに風呂を上がり、部屋に戻った。
トリトは鎧を脱ぎ冒険者用のゆったりしたローブを羽織っていた。
トリトに風呂に行くように伝えた。
コウが部屋に戻った時には既にフレンダとクルルは風呂に行った後で、トリトに鍵を預けてから行っていた。
なんとなく思い出した。夢と現実が虚ろになっていたが、周りがあまり信用出来ないので、風呂はコウとトリトが交代で、誰かは部屋にいて鍵を持っておく事になったんだったと。
実際はトリトが言い訳じみた事を言ってコウが先に入るように仕向けたのではなく、フレンダの提案があり、万が一の事を考えてどうするかを皆で話合った結果として、トリトとコウは交代交代でどちらかが残る事にしていたのだ。その為フレンダとクルルは申し訳無さそうに大きな女風呂に行くと言っていた。
コウは一杯一杯だった。
度重なる時間遡行は注視に耐えられない事態が起こり、それをリセットしているから、精神的な負担が大きかったのだ。
コウは面倒くさがりやだが責任感は人一倍強く仲間に対する思い入れもひときわ大きい。コウは弓道部も自分の事より部員の指導を一生懸命行っていた。
部活は非常に精力的で細かいのだが、その反動か日常生活はずぼらだ。
元々人付き合いが面倒でぶっきらぼうだ。ただ、打ち解けた仲間とは大いにはしゃいだりする。
年頃の男子だ。合宿で女子の風呂を覗きに行って、警戒していた宏海により阻止されたり、友達とカラオケに行ったりもしていた。
普段宏海と買い物に行っても殆ど無口だった。フレンダ達と知り合ってからもやはり基本的に無口で、必要な事しか会話をしなかったが、今朝サザリーを討ち取ってからはやたらとお喋りで、下手なオヤジギャグをしたり、今までに無かった言質が有り、無理に明るくしていた。
フレンダ、トリト、クルルは3人で女風呂に行っていた。
「フレンダ殿、コウはいつもあの様に下ネタを話したり、テンションが高いのだろうか?違和感を感じるのだが」
「私も付き合いは短いのだけれども、出会ってから今日の様に喋る事は無く、普段は無口ね。どうしたのかしら?」
「あまり良くないと思うのだ。人は何かを隠したいときや誤魔化したり切羽詰ると普段と違い、よく喋るようになると聞いた事が有るのだが、どう見ても変だと思うぞ」
「そうね、後で悩みとか無いか聞いてみるね。それよりトリトはいつまで女だと言うのを隠すの?」
「フレンダが面白いから暫く勘違いさせとこうと言ったではないか!私は別に直ぐに女だと伝えても良いのだが、今伝えると混乱に拍車をかけはしないだろうか?」
「じゃあ何も無ければ明日にでも伝える?」
「そうだな。コウは私の体を見たら落胆するのではないか?」
「確かに胸の形が崩れてるわね。大丈夫よ。コウはスケベだけど、人の体にケチをつけたり、胸の形でどうこうはしないと思うわよ。旨を見られた時の話って飛躍しすぎじゃないの?コウは欲望の為だけでは女を抱かない筈よ。心が通じていない女性は抱かないって言ってたわよ」
風呂場では女性陣が専らコウの話で盛り上がっていたのであった。
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