第24話 魔道具の正体
この世界の魔法使いが使う一般的な杖には2つの魔石を装着できる。
一つは杖に装着したままで、職人でないと脱着できない。コアになる魔石に合わせて杖を作るので、魔石の脱着は杖の魔石を入れ替えるのではなく、傷んだ杖をリフレッシュする事になる。つまり魔石のうちのひとつは杖の中核をなすコアの魔石。
もう一つは魔力不足を補う為のバッテリー代わりに使う魔石だ。つまり取替不可な内蔵バッテリーと、乾電池の役目を果たす。
フレンダは魔力供給用の魔石を必要としないのだが、試しに使うように言うと短い詠唱で済むアイスアローを唱えた。
あっさりと木を粉砕し、放った当人が驚いていた。今コウがチャージした魔石は金貨5枚位の価値があると言う。
「何これ?凄いわね。初級魔法なのにこの威力って!」
コウはフレンダが魔法を詠唱する姿に見惚れていた。少し輝いていたというか、オーラが出ているような感じで、神秘的で大人びて見えたのだ。だがはっとなり会話を続けた
「仕組みは分からないけど、魔力をチャージした魔石を装着すれば威力がアップすると思うし、上級魔法も魔力切れを起こさずに行けるんじゃないか?」
「でも今は試す事はできないわね。だってもし気絶したらその間にあんたに何をされるか分ったもんじゃないですからねーだ」
「何をするって?俺が意識をなくしている女性に対して、エッチな事をする奴だと本気で思えるのか?」
「な、何を真に受けてんのよ。ばっかじゃないの。そういえばあんたさっきとんでもない事を言ってなかった?魔力量がそういう21万超えって?それと何で使った魔力の差が分かるのよ?」
「うん。今も魔力は回復中だけど、ステータスを見れば魔力量が見えるだろ。それを見ただけだぞ!」
「何よそれ?そんなの聞いた事無いわよ。あんたが異世界人だからできるの?普通は魔力量はギルドに有る魔道具でしか見れないのよ。それに私の魔力量は多い方だけど、2500よ。上級魔法は2600を必要とするのだけど、魔力が多少足らないけど、気絶するのと引き換えなら発動できるのよ。でもね、あんたのは有り得ないくらいの魔力量よ。一般人で100、宮廷魔術師で4000よ。私はこれからまだ増えると思うから4000には届くと言われているけど」
「そうなのか。今の俺の魔力総量は42万だぞ。だから魔石にある程度チャージしてストックを作れるんじゃないかな。多分これって魔法発動時に1万位吸われるぞ。」
「何よそれ?」
「魔力量1万未満の者は魔法の発動すら出来ないだろうな。ひょっとして昔の人は今よりも魔力量が多かったんじゃないのか?これって遺跡からたまに出ると言ってただろう?」
「確かにそうね。そう言われると高いのは魔石だと思う。でも最初の時のは金貨100枚はするのよ。盗賊もどきが持っているような代物じゃないのよね。でも魔石へ魔力チャージした魔石が有れば、魔力量が少ない者でもガンガン魔法が使えるわね。何よ?さっきから私の事をジロジロ見ているけど?ほんとコウっていやらしいわね。どうせスケベな目で見てたんでしょ!」
「ははは。その、魔法を使っているところをちゃんと見るのって初めてだなあと思ってさ。それでつい見てたんだ。まあ、確かにフレンダは可愛いけどさ」
「何を言ってるのよ!まったくもう」
「俺のは魔力を使うがこれはスキルだろ?生活魔法だって召喚者特典のスキルだと思うぞ。魔力を使って何かはできても、魔力の使い方が分からないんだよね」
「えっ?光の玉のようなのを発射してたじゃないの。あれは魔法じゃないの?」
「いや、これは単純に魔力を弾丸にし発射しているだけだぞ。これを魔法と言うんだったら魔法なんだろうけれども、フレンダみたいに呪文を唱えて発射しているわけじゃないぞ」
「私も魔法を使える人達を色々見ているけれども、そんな魔法は見た事も聞いた事がないわよ」
会話をしていてフレンダがはっとなった
「何であんたは起きているのよ?魔力切れで気絶したんじゃないの?」
「魔力切れ?で気絶して頭がクラクラするけど、多分だけど魔力切れじゃないような気がするんだ。多分この魔力チャージ機に魔力をかなり取られたんだと思うんだよな。恐らく短時間で大量の魔力を使う事にまだ慣れてないから、おそらく体がついていけずに気絶したんだと思う。フレンダに会う前に魔物を倒した時はそんな事にはならなかったからさ。違うかな?」
「そうね。確かに私も中級魔法を初めて使った時は1時間位気絶したわね」
「なあフレンダ。魔力をチャージしたこの魔石って高く売れるのか?」
「そうね。最初の魔道具にセットされていた魔石で普通の人の年収の10倍位の価値ね。それで問題なのはこの2個目の方ね。そうね家が建つって言ったでしょ?一般の人の年収の20倍から30倍ってところかしら。節約したら一生働かずに済むかもね」
「そっか、金になるのか。それじゃあ俺が魔石に魔力をチャージしてさ、どんどん売れば大金持ちになるんじゃないのか?俺働かなくてもいいんじゃないのか?」
「あんたねえ、そんな事を考えていたのね。あのね、あまり大量に作ると値崩れして価値がかなり下がるわよ。そうね、確かに町を渡り歩いて魔石を売っていけばそれなりの価格で売り捌き続ける事ができるかもね」
「そっか。愛する人と二人で慎ましく暮らす分には今あるのでも十分な稼ぎになるんだな。でも旅をしながら色々なところを見て回るのも悪くないな。折角の異世界だし、冒険者課業も捨てがたいな。うん、ありがとう。まだ少し気分が悪いから横にならせてもらってもいいか?」
「問題ないわ。何かあったら呼ぶから、その時はすぐ対応してね!」
フレンダはコウの真意が分からず首を傾げていたが、コウはコウで色々な事に考えを巡らせているのであった。
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