第6話 砂丘にて

「わ、ワームってあの?」


「そう、ミミズのデッカいの。口には鋭い牙が生えてる」


「わ、私、ちょっと苦手かも...」


 あぁ、女の子はしゃあないね。って私も一応女の子なんだけどね...


「そうなの? 慣れればどうってことないよ?」


「お、俺もちょっとキモいかも...」


「リク、男の子なのにだらしないよ~ 釣りとかやんないの?」


 ミミズを怖がる男子は情けないな。


「そりゃあやるけどさ、ミミズはエサに使わないから...」


「苦手克服のチャンスだと思いなよ?」


「克服したくないなぁ...」


「私も~...」


 嫌がる二人を他所に、私はさっさと依頼を受けるのだった。



◇◇◇



「そう言えば二人の得物ってなに?」


 サンドワームの生息地である砂丘まで、歩きながらの移動中に二人に聞いてみた。


「俺は基本的に魔法で攻撃するから特に無い。杖は好きじゃないから使わないし」


 リクは魔法使いか。お母さん譲りなのかな?


「私も特に無い。強いて言えば爪かな。嘴もあるけどあんまし強くない」


「爪? 嘴? なんか猛禽類みたいだね?」


「あぁ、私、鳥の獣人だからね。鷲に変身出来るんだよ」


「そうなの!? 凄いね! 私、鳥の獣人見たの初めてだよ!」


 クウは鳥の獣人さんかぁ。なんかイメージに合ってるかもね。


「狩場に着いたら見せてあげるよ」


「楽しみ~♪」


「そういうアイラの得物は?」


「私のはこれ~!」


 そう言って私は懐から武器を取り出す。


「これって...ナックルダスター!?」


「そう、私って脳筋なんだよね。足には金属性のレガースを巻いてるし、履いてる靴にも鉄板を埋め込んであるんだよ」


 ちょっと恥ずかしくて頬をポリポリ掻きながら、拳に金属の輪っかを嵌める。そんな私を二人は怪訝な目で見ていた。 



◇◇◇



 一時間ほど歩いて、サンドワームの生息地である砂丘に到着した。


「さて、ワームはどこに居るんだ?」


「砂の中に潜ってるんだよ。私一人だと見付けられる数に限りがあるから、コスパが良くなかったんだ。だからこれまでは依頼を受けなかったんだけど、今日は三人居るからね」


「なるほど。だったら私は空から探すよ」


 そう言っていきなり服を脱ぎ出すクウに私は慌てる。


「ちょっ!? な、なにやってんの!?」


「気にすんな。コイツの裸なんぞ見慣れてる」

   

 リクがそう言ってる間に、裸になったクウ体が光ったと思ったら、一瞬の後そこには巨大な鷲になったクウの姿があった。

 

「凄い...大きい...それになんてキレイな...」


 頭の部分が白くて嘴は黄色。体は真っ黒な羽毛に包まれている。翼を広げた全長は約5mくらいありそう。


「人が乗れそうなくらいデカいね.. 」


「乗れるぞ? 俺は子供の時から乗ってる」


「妹に乗るって...なんか背徳的な香りが...」


「何を言ってんだお前は...」


 リクに呆れられてしまった...

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