決戦 ははは 月曜日

 で、私の大好きな月曜日。今日は印刷した企画書も待ってきたし、ウキウキ倍増、責任重大の浪川絵美でございます。不思議と気合入っちゃうのよね。服とか化粧とかさ。


 私が教室のある三号館に向かうと、エレベータを待ってる間、名前を呼ばれた。声に反応して、唇噛んじゃった。

「やあ、おはよう」

「おはよ」


 広瀬くんだった。なんかニガテなのよね。どことなく。蟻地獄見てる感じ?  エレベータが到着した。仕方なく、二人で乗った。

「三号館で授業って、めずらしいんじゃないの?」沈黙が苦手な私は、なんとなく訊いた。

「うん。たまには授業、ちゃんと行こうと思って」


 広瀬が言った。白いTシャツに薄手のジーンズ。カラフルなメッセンジャーバッグを肩にかけてラフな感じ。千尋が気になっちゃうのもわかるなぁ。

「変なヤツ。なんの講義? 三号館でやるやつって、文学系と、共通の生物系じゃなかったっけ?」


 エレベータが開いた。そのまま進んで右手の教室が、園山先生の日本史資料購読なのね。さらに廊下を直進して左手が生物論。通路に出て、広瀬も右手に拠るから、まさかとは思いきや、まさかの。


「うん。資料購読、実は履修してるんだよね」

 白い歯を見せて広瀬が言った。思わず、「げぇ」と言ってしまったわ。女の子らしくない。浪川絵美、マイナス五点。


 半ば魂の抜けた顔をしてたと思う。コイツったら、ちゃっかり近くに座るんですよ。どーよ。


 広瀬が講義に初めて顔を見せたから、教室に入ってきた学生は一度はこっちを見た。中には意味深な顔をつくってみせるヤツまでいてさ。だから、大して仲良くないって、言ってるじゃないの。


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