お昼 企画 ドキドキ
金曜日の昼下がり、文化棟に集まっていた私と千尋、ケンキチさんに広瀬くん、ニッシーと二年の菅原さんは、その話でもちきりになった。頼りない扇風機が、カタカタ音を立てて首を振っている。今日は暑い。
「今年の夏も、ペルセウス流星群が見えるみたいだよ」
無線LANが使える環境を利用して、経営学部の菅原さんが持っているパソコンを囲みながら、六人で話し合った。はじめはみんなノリだけだったけど、流星群がピークの八月十二日から十三日は、ちょうど夏休みだと判明してからは、みんな紙とペンを持って、企画書をそれぞれ練っていた。
これまで飲んでばっかりだったサークルにとっては、かつてない刺激的なイベントになるので、それを考えると、どこか気合が入るぞ。
私、月明かりがジャマしてない空で、天の川みたいなー。
簡単な企画書を書き終えた。これをサークルスポンサーの園山先生に見せてみようという話になった。学生補助金目当てもあったし、何より望遠鏡を学校から借りる必要があったからね。これを誰が園山先生に話すかってことになって、私は勢いよく手をあげた。となりにいた千尋が、ニヤニヤしながら肘でわたしを小突いた。広瀬くんが一度こっちを見た。
「私、月曜に授業あるから言っとく! まかせなさい」
「うん。なんだかんだで文学部だし、結構喋ってるもんな。頼んだよ、おれ、絶対行くからね」
「まー、許可降りなくても」
ニッシーが口を開いた。
「せっかくだから、今年はサークルでバーベキューでもしようよ」
「賛成さんせい! 絶対なんかしようよ。ぁぁ楽しみぃ」
千尋が胸に両手を当てて言った。そういうしぐさが様になってしまうのが、千尋のミラクルなんだよね。
そんなわけで、早く月曜にならないかなーって思う私である。毎週楽しみなんだけど、園山先生に講義以外で会話できるきっかけでしょ? あぁ、胸がキリキリ、あ、ドキドキするよぅ。
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