準備 ⑦

人の直感で動く行動には、損得など存在しない。それは自分の欲に動くから。その行動の先にある未来が例え真っ暗でも、突き進んでしまうのが人間だと、僕は思う。


『久しぶり。今はベッドの上でごろごろしてるよ。』


ピコン。

返事がすぐに帰ってきた。


『なら、少しお話しとかしませんか?』


『嫌だったら大丈夫ですから。』


『全然大丈夫だよ!』


『ありがとうございます。やっぱり優しいですね。櫻木くんは。』


『そんな、普通だよ。ちなみに鏑木さんは今なにしてたの?』


『櫻木くんとお話ししてます。』


『そういうことじゃなくて笑笑』


「ふふっ、私も今ベッドの上です。』


『櫻木くんにちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか?』


聞きたいこと?なんだろう。


『いいよ。』


『その、できたら電話で聞きたいんですけど....だめ、ですか?』


で、電話?なんでそんなこと?


『僕は構わないよ。』


『そ、それじゃぁ..』


画面上に着信画面が表示される。相手はもちろん鏑木さんだ。女の子としかもこんな夜中に電話するのは初めてだからとても緊張して、少し出るのが遅くなってしまった。


「も、もしもし..櫻木くん、ですか?」


「う、うん。そうだよ。」


「こ、こんばんわ...」


「こんばんわ。」


なんだか改まって声を聞きながら話をするとやっぱり恥ずかしいな。


「それで、ですね。聞きたいことなんですけど...」


「なにかな?」


「その、この前図書室で一緒にいた女の子ってどういう関係なんですか!!」

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