絶対に一重のままでいて。

かにくりーむ

第1話 目賀ちさ子は心配症である。

目賀ちさ子。20歳。性格:心配症である。


今朝も家を出るまでひと苦労であった。

「定期入れの中にSuicaはちゃんと入ってるかしら。Suicaだけ部屋のどこかに落としてないかしら。」

「箸入れの中に箸は2本ちゃんと入ってたかしら。一本は食器洗機の中に入ったままだったりしないかしら。」

いろいろと思いつく。想像力が豊かなのだ。

持ち物確認をするときにその場に何か落としてやしないかと、持ち物確認の再確認をするのでそりゃまた時間がかかるのである。

どうしてこんなに心配なのか、ちさ子にもわからない。

やっとこさ支度を終え、玄関の鏡の中の自分を少しの間だけ見る。

今日も相変わらず自己主張の弱いまぶたの下から瞳が見える。

よし、行こう。ドアを閉めて駅へと歩き出す。

「あ、やっぱり折り畳み傘持っていこうかしら。」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

絶対に一重のままでいて。 かにくりーむ @omuraisuni-aiosasageyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ