doragon

@sigma-sigma

第1話 交わる

この町ではドラゴンいわゆる竜だなそれと人間とが契約した土地として知られている

何を契約したかもわかんないんだ

なにもでてこないんだよ

あやふやな言い伝えとして残っている限りだ

なんか証拠がみつかったら歴史に名を残すことができるくらいだな

わっはっはっはっはー

白髪と焚火による影が上下する

いっちょやってやりたい気分だな!

おじさんは酒が入るとよくそうなるよね

その酒癖金がないのにも関係してんじゃないの

うるさいうるさい冗談だよ冗談

専門家でも発見できてないんだからこのアマチュア探検家たちには可能性が低いのはわかっているさ

でもお前たちがおれについてきてるのはその世界を想像してるからだろ?

まあそうだけど、、、

ここ数年は死神とかなんとかもうドラゴンなんて竜なんて一言も出ない話もはびっこっているらしいな

それらを売りにして宣伝しているんだ

そんなわけで様々な人が出向いてこの町は繁盛するようになった

町の人の顔を見ればあきらかだろ?

あの屋台のおやじさんなんて5年そこら前は怖かったのにいまはどうだぁ?

手のひら返したように機嫌よくふるまうじゃないか

ずっと森にいるとその町の賑わいも実感しないか

まっ話はその辺にして下降りるか「ドラ祭」みにいくか

せっかく12になったんやからな

カヅキ ハヅキを起こせ

下駄はいていくぞ 


ヅキ

この町でここ数十年ははやっている名のつけ方だ

あるところでは花子芳子といった名のつけ方もはやったらしいがまあそんな感じだ

おそらく‘月’からきているだろう

それぞれの月には異名がついている

神無月はこの町にとって特別だ

「ドラ祭」が行われる月なのだから


もう押さないでくださいあっちいってよ!

寝起きのやつの声じゃないな

だれやここくさいなあ お前たちやな

うわ手足汚れてるじゃん 服もぼろ臭いし

確かに臭いな 麻布の上下こんな格好では下に降りてくるべきではなかった

湖ですこしは洗って来ればよかったな

気にしなくていいぞ あいつも汗臭いからな

汗臭いやつなどここには山ほどいる

しかしまったくすげー賑わいだな今年も例年どうりだな


祭りの参加者は大体の人が角やとげの仮面をつけて仮装する

ここ最近は死神の仮面も増えてきた


ここ行きたかったんだろ

俺が前話したプラネタリウムおやじさんのとこ

うん!

わっはっはいきぴったりだな!

別にあわせようとしてないから!

こっちもな!

まあ並んで待っとけよ

ああ!どこいくんですか?!

少し挨拶しておきたい人がいるんだ


いいかな順番来たけど、おじさんどこに行ったのかな

いいんじゃね 終わる時刻もわかってることだし

じゃ!おやじさんよろしく!

おう!


わああきれいだね

小声で言う

夕方の金星 夏の大三角形 オリオン座 

色々有名なものから細かいものまで説明されていく

森で見ていたものに名前がついていく感じがして面白い


プツンー

んなんだこれ

おいハズキ!

あれいない?!

次の瞬間

うお!やばい!

重力が反転し、たたきつけられた感じがした

痛!何が起こった?!

目の前には半球形の凹ガラス面

下半身は闇に葬られたような感覚で力が入らない

そしてガラスの向こうの景色の情報を処理しようと目がめいっぱい開く

ドラゴンのコロニー

人?

いや違う人の形をした何かだ角がある

仮面じゃない

突然動物園に来たみたいだ

そう観測者のつもりだった

スパン!!

ガラス面が急に取れた

落ちる!!

落下しながら上向けになった俺は、、、

壁に張り付く鎌を持った死神を見た、、、

白髪で下駄


おじさんじゃないか!?


自由落下しながらドラゴンの世界に入っていく

交わってはいけない世界に触れてしまったかもしれない

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