予報したい。ここの天気を。

土蛇 尚

ここで成すべきこと

予報したい。ここの天気を。


僕の仕事は気象予報士、でも全然予報ができない。晴れると予報を出した時に雨が降るし大雨だと予報した時に雲一つなく晴れる。そんな事も珍しくない。


「こう言う時もある。次も頼むよ。」

みんなそう言ってくれるけど僕は肩身の狭い思いをしていた。実際狭いわけだし。そんな訳で僕は自分の挑戦に自信をなくしつつあった。そんなある日。


「降ります!必ず!」

僕はみんなの前で強く力を込めてそう断言した。これで予報が外れたらその時はその時だ。そう決心した。


「わかった。みんな聞いた通りだ。降ってくるぞ。」

予想は的中した。降ってくる。『隕石』が


「コロニーの対隕石ミサイルシステムを起動。余剰電力をバリアに回せ。地上作業員は退避。万一の時はこの星から出るぞ。宇宙船を点検しておけ。」


隕石に目掛けてミサイルをありったけ発射。その後はコロニー全体を薄く水色がかったバリアが覆う。もう何もできる事はない。


ミサイルは全弾命中。小さな破片はバリア弾かれた。どうやれ隕石雨を凌げたようだ。


「今回も助かったよ。いつもありがとう。」

「いえ、こっちが『宇宙気象予報士』の本業ですから」


僕たちが立つのは太陽と違う星を回る未開の惑星。地球と何もかも違うその大地に僕たちは開拓地を築いた。ここが人類文明の最前線フロントラインだ。

地球とは全然違う環境、大気、そして気象現象。地球のデータはそんなに役に立たない。でも活かす余地はある。


僕はこの星の天気を、ここの天気を予報したい。


『プラネットライフワーク』

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予報したい。ここの天気を。 土蛇 尚 @tutihebi_nao

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