第4話


「──裕紀さんデートしてください!!」


 今日も講義室のドアを勢いよく開けたと同時に裕紀さんのもとへ。


 挨拶もせずに一先ず思った事を言う。


「却下」


 やっぱり裕紀さんはスマホから目を離さない。スマホ依存症じゃないですかね!?


 ──ま、私は裕紀さん依存症ですけどね!!


「聞こえてる」

 スマホから目は離してないのに、何故私のところに的確に教科書が飛んでくるのか知りたい。



「くそー……やっぱダメかあ……」

 いつも私の話なんて聞いていないし、適当に「うん」しか言わないから今回も言ってくれるかなーって思ったのに。


 こういう時は絶対「うん」以外で返ってくるから不思議だ。


「お前って諦め悪いよな」


 やっと顔を上げてチラリと私を見てくれた!


「一途って言ってくれます!?」

 立ちっぱなしだった私はどすん、と勢いよく裕紀さんの隣の椅子に座る。



「なんで俺なわけ……?」

 ものすごく、ものすごーく疲れた顔をして額を押さえる裕紀さん。


「じゃあ逆になんで私が彼女じゃダメなんですか!?今彼女いないんですよね?」


 そう言うと何かを思い出すように遠い目をして──。


「俺、恋愛とか向いてねえもん。面倒だし」

 となんだかとても寂しそうにする。


 ……裕紀さんのこんな顔、初めて見た。


「うう……。いいもん……。それは私以外の女の子にも興味ないってことでしょ……?」


 裕紀さんの昔の恋愛なんて知らないし、知りたいとも思えない。


 今、私にすこーしでも興味を持ってくれたらそれでいい。


「いや、お前にも興味ないってことだよ」


 ……まあ、毎日撃沈してますけどね。


「裕紀さんの馬鹿っ!!せっかくポジティブに考えてるのに!!好きです!!」


 どれだけ冷たくされても

 どれだけ毒を吐かれても


「お前ホント一回黙ってくれる?」


 それでも絶対、裕紀さんを好きな気持ちがなくなるなんて──この先どう考えてもありえないんだから!!!



「……だから口に出すなアホ女」

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