第2話



 私が裕紀さんと出会ったのは大学の入学式。


 私は綺麗に並んだパイプ椅子に座って、キョロキョロと辺りを見渡していた。


 堅苦しいスーツに身を包んで新たな生活に胸躍らせている人たちを見ながら、私はスマホを取り出して音楽を聴こうとイヤホンを鞄の中から探す。



 するとガタンと隣に誰かが座ったから何気なくその顔を見上げた。


 そう──そのたまたま隣に座った裕紀さんに一目惚れ。


 マンガみたいにビビッときたね。



 その綺麗な横顔をじーっと見つめていたら

「……穴があきそうなんだけど」

 ってまさかの裕紀さんの方からファーストコンタクト!!



「──好きです」


 友だちにいつも「頭で考えてから言葉を発しなさい」と言われ続けてきた私。


 だけど今更自分の性格など変えられないみたいだ。


「──は?」

 怪訝そうな顔をするけど、それすらも私の興奮材料に──。

「おい」

「ごめんなさい」


 ──ああ、忘れてた。


「……全部口に出てるから」


 これも、いつも注意しなさいって怒られることなんだった。



「──どうでもいいけど、離れてくれる?」


 裕紀さんの顔を見つめすぎて、身体ごと前のめりになっている私に冷たく言い放った彼。


「ごめんなさい、無理です」


「俺に恨みでもあんの?」


 気持ちがいいくらいバッサリ断った私に、ものすごく嫌そうな顔をした裕紀さん。


 恨みどころか惚れてるんですけど!?


「だから口に出てる」

 呆れたように溜息をつかれたのは今でも忘れられない。



 ──ショックとかじゃなく。カッコよすぎて?




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