第29話わたしとカレ㉙
「だから・・・私はあゆみとは友達でいたいって事に気付いたんです。
直人の事も大事に思ってたけど、同じ位二人が大切なんです。伝わったかどうかは・・・正直・・・分からないです・・・」
それまで静かに聞いていたおじさんがようやく口を開いた。
「そんなん簡単やないか!伝わるまで伝えるんや。それだけや!」
「簡単に言わないで下さい!今日だって私の気持ち伝えたけど鬱陶しいと思ってるとしか思えなかったし・・・」
「そしたら、諦めるんか?それならその程度の気持ちやったっちゅー事や」
「そういう訳じゃないですけど・・・」
言葉に詰まってしまった。
何でこのおじさんは人の気持ちを考えないでこんなに無神経に言えるんだろう・・・
「まぁ・・・あとはねーちゃんの人生や。自分で考えーや。」
くるっと反対方向へ寝返りを打ってそのままおじさんは寝てしまった。
全く、聞くだけ聞いて喋るだけ喋って寝るなんて自由すぎ・・・・
しかもいびきうるさいし・・・
私は今日は早めに寝ようと、夕飯を軽く済ませ、お風呂に入りベッドに横になり今日の事を振り返っていた。
すると携帯の着信が鳴った。直人からの電話だ。
出ようか迷ったが今はあゆみの事を解決したい。それに私たちもう・・・
そう思いながらうとうとして、そのまま寝てしまった。
それから2週間余りが過ぎて行った。
あゆみともあれから話そうと試みたが電話もメールも無視されている。
仕事の休憩中に行ってみたこともあったがすれ違いなのか向こうが避けているのか、
会えずじまいに終わっていた。
家に帰っておじさんに相談したが「ねーちゃんが考えることや」と言って
全く相談にならない。その間直人からも幾度か連絡があったが、出る気にはなれなかった。
そんな時だった。会社終わり、会社の玄関であゆみの後ろ姿を見た。
私は急いで走って追いかけた。
「あゆみ!待って!」
私は思わずあゆみの腕を掴んだ。
あゆみは逃げようと身をよじったが私はしっかりと掴んだ。
「なによ!離して!」
「お願い!話をしようよ!このままじゃダメだよ!」
私が叫びながらあゆみを引き留めてる様子を会社から出てくる人たちがジロジロと見ていたので恥ずかしくなったのか
「・・・分かった・・・話すから・・・場所変えて話そう」
あゆみは話すことに応じてくれた。
私たちは場所を変えて駅向こうのカフェに入った。
飲み物を頼んで席に座りあゆみが話し出した。
「・・・正直、ここまでしつこいと思わなかった。」
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