第28話わたしとカレ㉘

「・・・気付いてあげられなくてごめん。でも私はあゆみの事友達だと思ってるから!これ以上傷ついてるあゆみを見たくないから・・話・・・聞くから!あゆみの気持ち、あゆみの話、聞きたいから。だから・・・自分をもっと大事にして!」


「今更なんなの!?自分を大事にしろとか・・・何様なの!?キモイんですけど!

どーせ直人ともう仲直りしてて私の事笑う気なんでしょ!?不倫なんかしててみっともない女ってね!」


私はしばらく黙った。


「直人とはもう・・・別れたの、私たち。だからもう関係ないよ」


その言葉を聞いて動揺した様子だったが、


「・・・もう私には関わらないで!アンタなんか友達だと思ってないから」


立ち去ろうとするあゆみの背中に向かって私は叫んだ。


「私は友達だと思ってるから!」


一瞬立ち止まったあゆみだったが、すぐに何も言わず立ち去ってしまった。

あゆみがどう思ったか分からないが、私は自分の言った言葉に後悔はなかった。

直人の事も大事だけど、同じようにあゆみのこともこんなに大事に思ってた自分に気付かされた。


はぁー・・溜息をついてお茶を一口口に含んで時計を見ると昼休みが終わりそうになっていた。私は急いで部署に戻る用意をし始めた。


午後の業務をこなし、何となくうわの空だったが定時に上がることが出来たのでそのまま真っすぐ帰宅することになった。


・・・気持ち的にはまだもやもやが残るなぁ・・・家に帰ってゆっくり休もう。そう思って

帰宅し、ドアを開けるとテレビがついていた。

あれ?テレビは出る時消したハズ・・・まさか・・・


「おう!帰ったんか!」


「お、おじさん!」


おじさんはいつもの定位置であるソファに横になってテレビを見ていたようだ。

オイオイ・・・どっか行ったんじゃなかったのか・・・


「見させてもらったで。ねーちゃんの本音。ずいぶん本音が言えるようになったやないか。」おじさんはテレビを消してそう言った。


「おじさん・・・出て行ったんじゃないんですか?」荷物を置きながらそう言うと

「その割にはちょっと嬉しそうやないか。朝も俺がいないか探しとったやろ?」


バレてる。


「見てたんなら出て来て下さいよ」

「俺は忙しいねん。ねーちゃんとこばっかり居られんのや。で、どうやったん?ねーちゃんの気持ちは。」

「だって・・・見てたんじゃないんですか?今日の私とあゆみのやり取り・・・」


「俺は人の気持ちは見る事は出来ないんや。だから聞いてんねん、ねーちゃんの気持ちを」


私は今日のあゆみに言った時の気持ちを伝えた。おじさんは黙って聞いてくれていた。

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