第27話わたしとカレ㉗
「ねぇあゆみ・・・彼氏って、あの人の事・・・?あの人って・・・あゆみの部署の課長・・・だよね・・・?」
あゆみは黙ってペットボトルのお茶を飲んでいた。
「課長って確か、奥さんと子どもいなかったっけ・・・?・・あゆみ・・それ分かってて付き合ってるの・・・?それってつまり・・・」
「そうよ!不倫関係なの私たち!!ずっと前から!
・・・でも・・だからなに!?アンタに何か言われる筋合いないし!・・・それとも・・・私にされた仕返しの為に会社や奥さんにでもバラす?別にいいわよバラしても!いつかはバレるの覚悟してたし!」
あゆみはキッと私を睨みつけながら言い放った。だけどどこか弱々しかった。
「あゆみ・・・私は課長との事ももちろん驚いたけど、その前に聞きたい。
・・・どうして課長とも関係を持ちながら直人とも関係を持ったの?ただの遊び?私の事が嫌いだったって言ってたけど・・・それなら始めから私に直接言えば良かったのに・・・こんなやり方、卑怯だよ。私は・・・少なくてもあゆみの事は友達だと思ってたのに・・・」
ハンッとあゆみは鼻で笑いながら答えた。
「友達?アンタと私が?冗談でしょ?勘違いもいいとこだわ。アンタみたいに誰にでもヘラヘラいい顔してるいい子ぶってる女・・・前から大嫌いだったのよ!
・・・なのに・・・いい男は必ずアンタの方を好きになってく・・・だけど直人だけは・・・って思ってたのに・・・直人も・・・許せなかったのよ!」
私はそこで初めてはっとした。
「あゆみ・・・じゃあ直人の事・・・」
顔を歪めながら絞り出すように次々と過去を話し始めた。
「そうよ!本気で好きだったのよ!初めて会った時から!なのにみさこが好きだって聞かされて・・・ずっと前から直人を好きだったのは私なのに・・・許せなかった・・・みさこを好きだと言った直人も。直人を好きだと言ったみさこも・・・だから・・・
たまたま誘われた課長と関係を持ったのよ・・・もうどうでも良くなって・・・
だけど・・・課長とも上手くいかなくなった時に直人と二人で会うチャンスがあって・・・それで何度か関係を持ったのよ!結局振り向いてくれることはなかったけど・・」
あゆみは話した後溜息をふぅーっと吐くと
「どう?これがみさこが知らなった私の本性。軽蔑したでしょ?」ふふっと笑った。
「あゆみ・・・ごめん私・・・何も気付いてなかった・・・言ってくれれば良かったのに。
そしたらこんな・・・直人の事好きだって知ってたら私・・・」
「付き合ってなかったとでも言いたいの!?どこまでいい子ぶる気なの!?バカにしないでよ!」
「そんなんじゃない!だけどあゆみはそんな酷い事を平然と出来るような子じゃない!・・・確かに、直人と関係を持った事には傷ついたけど・・・でも・・・それ前に私がもっとあゆみの気持ちに気付いてあげられてたら・・・って・・・だから・・・」
ありったけの気持ちをぶつけようと思った。でもこんな時に気の利いた言葉が見つからない。だけど・・・
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