第20話わたしとカレ⑳
「まだ、全部きっと心の汚れは取れてないけど、ね」
それまで黙っていたおじさんが口を開く。
「自分の弱さを認めることは勇気がいる行為や。特に人間はな。
認めたくない、相手を信じたいって思うねーちゃんの気持ちは立派やと思う。
せやけど、相手の気持ちを優先しすぎて、自分の気持ちを塞いでしまうと、どんどん心が醜く汚れてしまうんや。本当に思ってる事をねじ伏せてるつもりでもな。」
「少しはそれに気付けたみたいで良かったやないか。せやけど、アンタにはまだやるべきことがまだ、あるやろ・・・?」
私は静かに頷く。
「それが分かってるんなら、きっとねーちゃんは変われるはずや。」
それだけ言うとおじさんはふっと消えてしまった。
「え・・・?ちょっと、おじさん?」呼んでも探してもみたがおじさんは部屋から消えてしまっていた。
言いたいことだけ言って、消えちゃうなんて・・・
ふと、携帯電話を見る。もう深夜を回ってしまっていた。
あゆみからの着信は・・・ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます