第20話わたしとカレ⑳

「まだ、全部きっと心の汚れは取れてないけど、ね」


それまで黙っていたおじさんが口を開く。


「自分の弱さを認めることは勇気がいる行為や。特に人間はな。

認めたくない、相手を信じたいって思うねーちゃんの気持ちは立派やと思う。

せやけど、相手の気持ちを優先しすぎて、自分の気持ちを塞いでしまうと、どんどん心が醜く汚れてしまうんや。本当に思ってる事をねじ伏せてるつもりでもな。」


「少しはそれに気付けたみたいで良かったやないか。せやけど、アンタにはまだやるべきことがまだ、あるやろ・・・?」


私は静かに頷く。


「それが分かってるんなら、きっとねーちゃんは変われるはずや。」

それだけ言うとおじさんはふっと消えてしまった。


「え・・・?ちょっと、おじさん?」呼んでも探してもみたがおじさんは部屋から消えてしまっていた。

言いたいことだけ言って、消えちゃうなんて・・・


ふと、携帯電話を見る。もう深夜を回ってしまっていた。


あゆみからの着信は・・・ない。

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