第17話わたしとカレ⑰
玄関に着くとみさこの姿が見えた。「お待たせ」と言うとみさこは「うん」と
歩き出した。何だかいつもとどこか違うみさこの態度だったが、
疲れてるのだろうと気にしないようにした。
「どこ行こっか?」
「うん、あそこかな。」と彼女が指さしたのはいつもランチに行くカフェレストランJIMIE(ジミィ)だった。
俺は「いいよ」と言って歩き出す。
店に着くと「お好きな席どうぞ」と出迎えられた。この店は昼はランチをやっているが夜はバー・レストランのなるので腹が減った時や酒が飲みたい時とても便利だ。
会社の近くということもあり、たまに社内の人間を見かけることもよくある。
だが今日はどうやら知り合いはいないようだ。
俺たちは端の2人席に座った。仕事も終わった事だし、とりあえず生ビールでも飲んで食事をしようかとメニューを取り、みさこに渡そうとすると
「私もう決まってるから。直人、好きなの頼んでいいよ。」そう言われ俺は適当にいつも食べるつまみ等を選んでいた。「すみません」と店員を呼び選んだつまみを注文する。
「私はウーロン茶で」いつも一緒に軽く飲むみさこが珍しいな。やはり疲れているのだろうか。俺は労うつもりで会社で起きた最近のくだらない話を始めた。
みさこはいつも通りうんうん、と聞いてくれる。がどこか上の空のような気がした。
飲み物が到着すると「お疲れさまー!」とグラスを持ってみさこのグラスと乾杯をした。ぐいっと軽くビールを口に入れた。やっぱり仕事後のビールは格別だ。
みさこもウーロン茶を少し口に含むとふぅーとため息をついたので
「みさこ、何か疲れてる?仕事の事?」と聞いてみた。
しばらく下を向いていたみさこだったがふと顔を上げてその言葉に驚愕した。
「あのさ、私たちもう別れよう」
少しも曇りのない瞳でみさこは俺にそれを放った。
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