第11話わたしとカレ⑪

「・・・・昨日は・・その・・・誤解しちゃった・・・よね・・・?あゆみとのこと。

その・・・ほんとになんでもないから・・・たまたま昨日はあゆみがうちの部署に寄って

・・・それで・・・悪ふざけみたいなもんだから・・・その・・・あゆみがしたことも・・・

俺は・・・・・・みさこの彼氏だから・・・その・・・信じて欲しい・・・」


うつむきながら直人は必死に弁解をしていた。しかしそんな説明で納得がいく訳がない。どう考えても直人とあゆみは以前から関係を持っていた。あのSNSの写真の事だって・・・・・黙っていると、直人は続ける。

「・・あゆみとはただの同期仲間で・・・ほら・・・みさこも知ってるだろ?何か・・・異性友達同士の悪ノリみたいな・・・だからほんとになにもないからっ・・・あ、あゆみも気にしてたし」


ウソだ。あゆみからは何の連絡もない。それに昨日の口ぶり・・・

なにもかもが嘘だと分かっていた。でも・・・でも・・・・


「みさこなら・・・信じてくれるよな・・・?最近忙しくてなかなか会えなかったけど、俺はずっと・・・みさこの事好きだから・・・・」


別れたくない・・・これまでの事が嘘だと思いたくない・・・

涙が出そうなのをぐっと堪えて


「・・・・そ・・・そうだよね・・・あゆみとは・・・ただふざけてただけだもんね・・・

分かってるよ・・・直人は私の彼氏だもんね・・・信じてるよ・・・」

内心心臓バクバクだった。嫌な汗が背中にすーっと通り抜けてくのがわかった。


「みさこ・・・ありがとう・・・分かってくれると信じてたよ・・・

これからはちゃんと時間作るから。ほんとに・・・誤解させちゃってごめん」


それから直人は会社のどうでもいい話など永遠とご機嫌で話していた。

私の頭には一切入って来なかった。それでも愛想笑いを続けていた。嫌な汗が止まらなかった・・・

「あっ・・・ともう時間だな。そろそろ会社に戻るか」


ようやく長かった悪夢のような時間が終わった。直人とはエレベーターの階が違うのでそこで別れた。


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