第8話わたしとカレ⑧

カーテンレースから差し込む暖かい日差しが体中を包み込む。

ああ、そーいえば昨日カーテン閉めてないなぁ・・・

そんな事をぼんやり考えながらゆっくりと身体を起こす。


昨日帰宅したままの服で床で寝てしまったようだ。体いたぁー。


・・・・・・ん?昨日のおじさんは!?リビングを見渡したが誰もいない。


昨日のあれは夢だったの!?


充電していた携帯電話を手に取ってみたが、いつもと同じ待ち受け画面が映し出されていた。それと同時に現在の時刻に気付く。



!?



ヤバイ!!遅刻する!!


私は慌てて洋服を着替えて出社の準備を始めた。







何とか間に合ったようで、会社に着いた。

会社の玄関を入った所で同じ課のえみに「おはよう」と声をかけられた。

私たちの部署は5階なので一緒にエレベーターを待つ。


朝のエレベーターは混み合っていて、さまざまな部署の人たちが列をつくって

エレベーター待ちをしていた。

えみと話しながら待っていると、前の方に直人がいることに気付く。

私が見ていたせいか直人はちらっと後ろを振り返り目が合った。


彼はバツが悪そうに目を逸らすと到着したエレベーターにそそくさと乗っていった。

さすがに同じエレベーターに乗りたくなかったので「ごめん先行ってて」とだけ言ってもう一度並び直した。

ふと携帯を見ると昨日から何度も直人からの着信があった。それを見たときに昨日の映像が思い浮かぶ。


あれは夢じゃなかったんだよね・・


ダメだ。思い出すとまた、泣きたくなってくる・・・今はやめよう。

とりあえず仕事だ。エレベーターに乗り、気持ちを切り替える。

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