第5話わたしとカレ⑤

私の中の時間は止まっていた。


あゆみはニヤニヤしながら「あーあ、バレちゃった」とクスクス笑っていた。

直人も何か言いたげだったが言う前に私の足が動いた。

落とした鞄を拾って一目散に走った。


ウソ・・・ウソ・・・だよね・・・どうしてあゆみが・・・


頭の中でさっきの光景がぐるぐる回ってる。

どこをどう帰って来たのか分からないまま家に着いた。同時に涙が溢れて止まらなかった・・・


私たちが付き合った時も喜んでくれたし、何より同じ課に彼氏が出来たって言ってたし・・

SNSを教えてくれたのも・・・


直人も、どうしてあゆみと・・・いつから・・・?・・・もう分からない・・・


ひたすら涙が止まらなかった。そのまま部屋の隅で私は眠ってしまった。






〝オイ、なぁ、ねーちゃん・・・そんなとこで寝たら風邪引くで・・・〟





ん?だれ?私は寝ぼけながら顔を上げた。その瞬間急激に目が覚めた。


目の前にきったない恰好をしたホームレスみたいなおじさんがこちらを見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る