第53話:新しいスタートの時 ③-1

ほとんどの生徒は両親のどちらかが帰宅していたため、迎えに来られるようだが、菜々華とキャロルは両親どちらも勤務中だったため、ナンシーの家の車に乗って帰ることになった。


 連絡をして20分後、ナンシーのお父さんの車が玄関の前に迎えに来てくれた。


 しかも、普段仕事用に使っている大きなバンではなく、わざわざ家に帰り、家族用として乗っている大きな日本車で迎えに来たことでナンシーはびっくりしていた。


 というのも、この車は父親が家族サービスのために購入し、3ヶ月前に納車された新車で、家族も数回しか乗ったことがない。


 そのような車で迎えに来た父親に対して彼女は何かしらの疑問を感じていた。


 そこで、彼女は父親に「何でこの車で来たの?」と聞くと、父親は「ナンシーが友達を乗せると言っていたから普段使っているバンではちょっと失礼かなと思って、遠出用のミニバンにした」というのだ。


 彼女は学校を出ると、いろいろな話で盛り上がり、彼女は普段きょうだいとは話せないことや学校で話せないことをいろいろと話していた。


 学校を出て30分後、キャロルの家に着いて、彼女を降ろし、そこから10分後に菜々華を降ろし、帰路に就いた。


 その日は翌日が休校日だったこともあり、夕食を済ませて、3人以外にも友人たちを招待し、雑談しながら勉強することにしたのだ。


 そして、時間になり、みんなと画面越しではあるが、顔を合わせて、今回延期になった政治リーダー論2マス分、リーダー育成クラスなど特進クラスが受講しているクラスで習った内容や発表されたテスト範囲と前回の範囲を復習しながら勉強会をしていた。


 そこで、学年トップのアンソニーが「みんなは将来何になりたいの?」と聞くと、マリーは“政務官”・ナタリーは“弁護士”など明確な目標を持っている事を知ったが、一方で“夢はない”や“なりたいことはあるけど、自信がない”など自分の明確なビジョンを持っている同級生もいたため、みんなで“こういう仕事はどう?”や“これをやってみては?”という提案をする同級生の言葉に感動を覚えていた。


 この日は夜10時までみんなで問題を出し合いながら、分からない事を解決しながら勉強していた。


 翌日、学校に行ってみると入り口に人が集まっていて、かなり大事になっていた。


 何だろうと思い、前に行ってみると「本日は臨時休校とします。再開日まで自宅待機と自宅学習をお願いいたします。」と書いてあった。


 そして、先生たちが「みんなごめんね。今、スクールバスに戻ってもらうように連絡したからバス停で待っていてね。」と自分のクラスの子供たちに伝えていた。


 菜々華を含め、学校の正門前に集まっていた他の子たちもかなり動揺していた。


 その後、バスが到着し、スクールバスに分乗してそれぞれの家に送り届けられた。


 その日の夜、学校からある連絡が来た。


 それは“明日・明後日も休校とし、授業再開は来週の月曜日~となります。休校理由等は後日保護者会を開催し、説明します”というのだ。


 この連絡を受けて、同級生たちに動揺が走った。


 なぜなら、前日まで何もなかった学校がいきなり5日間も休校になるという前代未聞の事態になったことで「残りのテストはどうなるのか?」・「今年の成績は大丈夫なのか?」など成績に関する不安やテストの平均点に関する声がたくさん聞かれた。


 月曜日になり、学校は再開されたが、残ったテストの実施と受験したテストの返却は出来ず、理由も説明されないまま次年度の学生説明会が始まり、新しいクラスについての説明や指定大学受験制度を使う際の注意などいろいろな説明と新しいラップトップとタブレットが支給されることになるため、希望の色のアンケートを書くように指示された。


 その日の夜、両親が呼ばれ、緊急の保護者会が開かれた、


 その中で先週の休校理由について校長から説明を聞いて保護者からは複雑な声が挙がっていた。


 というのも、休校理由が“運営会社からの通告だったのだ”


実は彼女たちが通っている高校はアメリカ政府から委託された地元企業の教育部門が運営および管理をしている。


 しかし、この運営会社が債務不履行を起こし、運営継続が困難になったため、この会社から別の会社へと運営及び管理が変更されることになったが、新しい会社が見つからず、暫定的に州で管理及び運営を行い、休校していた学校を再開する運びになった。


今後、法律上のリミットである3月末までに新しい企業が経営及び運営・管理の応募に手を上げてくれることを待つことにした。

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