第50話:新しいスタートの時 ①
菜々華は高校生になり、新たな一歩を踏み出した。
そして、彼女は無事に志望していた高校に進学出来たことで一層身が引き締まる思いをしていた。
その一方である不安もあった。それは、同じクラスの女子生徒は恋愛経験がある子ばかりで、恋愛未経験は菜々華とニーナ、アシュリーの3人だった。
ただ、ニーナもアシュリーもスタイルが良く、3人で並ぶと菜々華がかなり小さく見える事もあった。
ある時、菜々華はニーナとアシュリーと恋愛話をしていた。
その席でアシュリーがある相談をしてきた。
それは「私好きな人がいるけど、勇気が出なくて・・・」とある男子に片想いをしている事を打ち明けたのだ。
その相手の男子はブライアンといって、同級生だが、クラスは上のクラスにいて、彼女との接点はなかった。
しかし、数日前にキャメロンとエイミーに誘われて行った勉強会に参加していた1人だった。
その時、勉強を教えてもらった事がきっかけで彼の事が好きになったというのだ。
彼とは直接の関わりはないとはいえ、ここまで好きになるというのはよほど相手のことが好きなのだろう。
この頃、菜々華も悠太との将来について考えていた。
この時は悠太をまだ“友達”として考えていたが、彼女にとってはいろいろと相談に乗ってもらってきた“大切な存在”になっていた。
そして、ニーナもポールというバスケの貴公子と言われている男子に片想いをしていたため、毎日部活動が行われるバスケットコートに足繁く通っていた。
しかし、ニーナもアシュリーもある辛い過去を持っていた。
それは“ルッキズムによる差別”だった。
ニーナは中学2年生で170センチあり、他の男子と同じくらいあったことからニックネームが“ビッグ”になっていた。その当時、好きだったジョンには「僕は君と付き合えない。だって、自分に似合わないし、もっと可愛くなって欲しい」と言われ、アダムには、「僕は付き合えない。だって、君は背が高すぎて恐いから」と容姿が原因で失恋してしまった経験がある。
その後も恋愛をしようとしたが、誰からも相手にされなかった。
その経験が彼女を恋愛から遠ざけてしまったのだろう。それ以降、男子に対して恋愛感情を抱くことはなく、中学校を卒業した。
そして、高校の入学式で女子がざわついていた子こそ彼女が今片想いしているブライアンだった。
ただ、中学生の頃から同じ学校にいるアンナの話しではブライアンにはシェリーという2歳年上で、背の高いモデル級の彼女がいるという話があるらしく、フリーではない可能性がある事が分かった。
そのため、彼女は事実かどうかを周囲に確認し、事実であるなら手を引こうと考えていた。
ブライアンのことが好きで仕方がない彼女にとって彼を諦めることは何かを失うくらいかなり重大な決断をすることに繋がる。
そこで、彼の彼女と噂されているシェリーのことを調べるため、彼女のSNSのアカウントを探して、写真を見てみることにした。
彼女らしきアカウントが見つかり、そのアカウントを開いて見ると、彼女とブライアンが並んでいる写真が投稿されていて、“He is My Hero!(彼は私の英雄)”と真剣交際していることをうかがわせていた。
そのため、アシュリーが「また片想いを諦めないといけないのか・・・」と思っていた。その頃、菜々華はある進展があった。
それは悠太が中学校卒業後に起業し、父親と同じ道を歩むという報告を受けたことだった。
彼女はその話を聞いておめでたいと思ったが、その一方ある不安を抱いていた。
それは、“2人の関係がどうなるか?”だった。実は2人が幼馴染みとは言ってもすでに10年近く一緒の時間を過ごせていない。
そのため、可能なら一緒に過ごせるように日本に帰国したいと考えていた。
しかし、悠太から「自分としてはもっと立派な経営者になるまでは菜々華とは会わない」と伝えられ、彼女はショックを隠せなかった。
ただ、彼女にも高校という新しいステージが始まったため、夢に向かって突き進むことにしたが、前途多難なスタートになってしまった事が彼女の中では気がかりであり、大好きな友人たちとは違う学校に進学したことで友達と会えないことが心残りだった。
彼女が入学して3ヶ月後、高校の期末テストの時期が近づいてきた。
彼女としては問題なく次の学年に進むためにもここは勝負をしなくてはいけない。
ただ、不安要素も少なからず感じていた。
それは“大学への科目免除措置”だった。
彼女の学校は“大学特定入学者試験”を受験できる対象校として指定されていた。
そのため、1年次から受験の条件となる成績の基準を満たすことが求められ、その基準というのも①学年上位5位以内、②クラスに対しての評価点が3科目12点以上(全科目アドバンスクラス~プレアドバンス)にならないといけないなど条件がかなり厳しい。
しかも、彼女は入学時のクラスは数学がミドル、英語コミュニケーションはアドバンス、第二外国語はミドルとどう考えてもこの条件に当てはまるような状態にはなっていない。
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