第39話:悠太の葛藤と恋愛 ③
ただ、アメリカに残るにも制服を買い替えることや在住ビザを再取得し、所定の手続きを経てグリーンカードの対象になる必要があるのだ。
ただ、菜々華は日本に帰りたいと思っていた。その理由として同級生との人間関係が上手くいかないことや環境が変わったことで体調を崩して学校を休むなど思うようにいっていないことで精神的に追い詰められてしまった。その上、アメリカの教育制度は日本と異なり授業を受けたからといっても進級基準になる成績をクリアしないと進級できる訳でもないことから今の彼女に選択できるのは帰国か、ホームスクールなど在宅で自分の夢などのための学習をするかだけだった。
そんなときだった。彼女は思いきって悠太と久しぶりに連絡を取ってみることにした。ただ、彼のいる日本は夜の10時になるため、彼が出てくれるかどうかは分からなかった。
彼女がテレビ電話をすると、悠太はびっくりした表情で電話に出てきた。
彼は「菜々華、ひさしぶりだね。元気だった。最近連絡がなかったからかなり心配していたよ」と日本から彼女の事を心配していた。のだった。
その言葉を聞いた菜々華は「えー本当に?それはうれしい」と心から嬉しそうな表情で彼に返した。
そして、彼が「今日は何か相談でもあるの?」というと「実は来月くらいにビザの関係で1回帰らないといけないからその時に会えるといいなと思って。来月で会えそうな日はある?」と彼女が聞くと彼は「来月は学校も塾も試験前だからな・・・会えるとすると来月の下旬かな・・・」と言うと菜々華が「えっ?新しい塾にでも通い始めたの?すごいね。」と聞き返すと「違うよ。菜々花も通っていたあの塾だけど今は中学生クラスだから受験対策やら模擬試験やら今の時期は隙間なくスケジュールを組まれているからさ。」と笑って返した。
この時2人は違う事を考えていた。悠太は菜々華が今後日本に帰ってきてまた付き合えるのかもしれないということともしかするとよりを戻して復縁できるのではないか?という恋愛対象として彼女を見ていた。
しかし、彼女はアメリカにいる間に“1度悠太を連れてきて一緒にデートをしたい。”や“悠太が留学でこっち来てくれないかな?”など友達としての関係を続けたいと思っていたのだ。
そんなある日のことだった。突然彼女の元に不思議な長文メッセージが届いた。
それは、“はじめまして。私は悠太君の仲の良い彼女のような関係の友達の結梨と言います。悠太君のお友達から聞きましたが、あなたが小学生の時に悠太君と付き合っていた彼女さんですか?であるなら、もう悠太君には近付かないでください。彼は私と付き合って結婚する運命になるので、あなたとは復縁することは私が許しません。そして、仮にあなたの所に彼が行ったなら私が徹底的に2人とも追い詰めます。”を含めた2000字近い文章で構成されていて、最初見たときは何かの迷惑メールかと思った。
この時、彼女は結梨という子は会った事もないし、見たことも話したこともない。しかも、連絡先も知らないのだが、なぜ送れたのかという疑問が残った。その時ある子の名前を思い出した。その子は“鶴本詩織”という結梨と同じ学校に通っていた女の子で菜々華と一緒の塾に通っていた。
その子は当時からいろいろな子と連絡をやりとりしていたこともあって、知っている人の情報も多い。ただ、彼女は人の情報を相手に無断で教えることはしないため、彼女から情報を得たというのは考えにくい。
だからといって悠太が彼女のアドレスを教えるわけもないため、一体どうやって彼女のアドレスを手に入れたのか分からなかった。
数日後、悠太からメッセージが届いた。その内容を見てびっくりしたのだ。
それは、悠太の友人で彼が小学生の時に菜々華のいる進学塾に転塾する前に通っていた塾にいた拓也という勉強が出来て、学校の成績も塾の成績も優秀、地域のジュニアのコンテストに出ると必ず優勝して、賞を総なめにしたこともある女子に人気の男の子がいた。その子は交友関係も広く、人気子役や有名ジュニアモデルなどとも交流があるため、個人情報は厳重に管理していた。しかし、ある友達から「悠太君の元彼女さんの連絡先を知っていますか?」というメッセージが入った時に知らないアドレスからの送信だったこともあり、彼は送らなかったが、そのメールのBcc欄にいろいろな人のアドレスが載っていて、そのリストに入っていた人が結梨にアドレスを流したのではないか?というのだ。
彼女は信じたくはなかったが、その可能性も否定できなかった。その理由として彼女はアメリカに行く前にみんなとプロフィール交換をしていて、その時はまだ日本のフリーメールアドレスだけを使っていたため、そのアドレスを特定されたとしても問題はなかったが、その後にアメリカでスマートフォンを買ってもらい、授業で必要なパソコンも買ってもらっていたため、一部の親しい友人たちにはアメリカのアドレスも教えていたのだった。
彼女は以前に教えた友人たちに1人1人メールで状況確認をして欲しいとお願いしていた。すると、朱莉が「もしかすると自分が少し前に送った塾の同窓会をレストランでやったときに撮った写真を参加者に送ったときにアドレスを一斉送信したからそこで名前が出なかった人のところに手当たり次第で送ったのではないか?」というのだ。
もちろん、故意に流出したわけではないと知って安心はしたが、菜々華にとっては恐い思いをすることになった。
そして、朱莉も「今度からは1人1人にメールを送るようにするからそのメールは返さないで」と助言をもらい、そのまま放置した。
そして、彼女の学校も終わり、何とか秋休みに入って3日後には日本への帰国が迫っていた。その時にビザを再取得するか、そのまま日本に帰るかで未だに彼女は悩んでいた。その理由として日本に帰っても通える学校はあるが、校内環境がかなり荒れている学校、いじめが日常的に起きている、派閥などがたくさんある学校しかないなど今の悩みと変わらない環境で過ごすとしてもかなり精神的にきついことや仲の良い子たちは私立の中高一貫校に入学したため、同じ学校に入ることが難しいこともあった。
その他にも何かあったときに同級生で頼れる人が近くに居ないため、悠太の近くに居られるなら居たいという彼女の精神的な支えや何かあったときに自己防衛するための選択をしにくいことがあった。そこで、母親に相談すると、母親は「中学校はアメリカで過ごして、高校から日本の学校に行っても良いと思うけど。」と言ってきたが、父親は「今すぐ帰りたいなら帰ってもいいけど、日本の学校に行ったはいいけど不登校になってアメリカ帰るとか、勉強についていけなくなって挫折したとか言ってもお父さんは助け船を出せないぞ」とアメリカ駐在が延長になった分、父親が何かをすることは難しいことを彼女に伝えたが、それでも迷いが消えることはなかった。
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